いまでも続く名車の血統
マツダRX-7といえば、初代モデルが北米市場で40万台近い大ヒットモデルとなったことでも記憶に残るが、同じく北米でヒットしたジャパニーズスポーツカーといえば日産フェアレディZを置いてほかにない。なにしろ初代モデルは北米を中心に、グローバルで50万台以上をセールスするという大ヒットスポーツカーになったからだ。
そんなフェアレディZといえば、コミックでも有名になった初代S30型を推す声も大きいだろう。筆者と同世代であれば、国産車の280馬力自主規制を生み出した4代目Z32型が印象深いという人も多いかもしれない。
しかし、あえて筆者が印象深いモデルとしてチョイスしたいのは3代目のZ31型だ。この世代のなにがユニークかといえば、V6エンジンと直6エンジンが混在していたこと。さらに初代フェアレディZが伝説となったサファリラリーでの活躍よろしく、全日本ラリーに参戦したことが記憶に残る。
日産ワークスカラーで、1980年代の国産車として珍しい3ナンバーボディ、230馬力の3リッターV6ターボを積んだZ31ラリーカーは、フェアレディZの歴史の中では異端に感じられるかもしれないが、だからこそリアルタイムでのインパクトは抜群だった。
スカイラインGT-R(R32)、フェアレディZ(Z32)が誕生した1989年といえば、国産車のビンテージイヤーとして語りつがれている。その年に誕生した、ブランニューな国産スポーツカーが、マツダ・ロードスター(当時はユーノス・ロードスター)である。
ライトウェイトスポーツカーという、当時は消えつつあったカテゴリーにマツダが投入したロードスターは、スペックではなくテイストで楽しむスポーツカーという価値を示した。このモデルでドライビングの基礎を学んだ……という話も多いが、正直なところ、そう感じているのは筆者より少し下の世代になるだろう。筆者の感覚だと、自分の世代におけるドライビングの教科書はAE86(レビン/トレノ)だった。
それはさておき、スポーツカーを流行りにのって作り、売れなくなるとやめてしまうメーカーも少なくないなかで、ロードスターをずっと作り続けているマツダにはリスペクトしかない。しかも、ずっと進化を止めていないのだから素晴らしい。
その意味では、ロードスターのベストチョイスとしては「最新は最良」と表現したい。実際、2022年秋の商品改良によって投入された「ジルコンサンドメタリック」という新色は、大人のスポーツカーとして新しい価値を示すもの。
黒い幌、赤いブレンボブレーキとの相性もよく、筆者自身として初めて本気で欲しいと感じたロードスターになった。