これまで「PHV」としてきたトヨタが表記を「PHEV」に変更
ハリアーPHEVも、シフトレバーのマニュアル操作によって回生を強めることはできるが、エンジンブレーキの代わりといった使い道で、減速したいと思うたびにシフト操作をしなければならない。
諸元数値での電力消費比較で、1kWhで何km走行できるかを試算すると、ハリアーPHEVはアウトランダーPHEVより優れる値だ。だが、アウトランダーPHEVでイノベーティブペダルを利用してワンペダル的運転を活用すると、ハリアーPHEVとほぼ同等の6km/kWh前後の電費がオンボードコンピュータ上に表示された。
トヨタは、これまでプリウスやRAV4でプラグインハイブリッド車を「PHV」と表現してきた。それはまさしく、プラグインハイブリッド車の頭文字をとった表記で、HVが基のクルマであることを主張してきた。
一方の三菱自は、先にも述べたようにEVのモーターやバッテリーを活用して誕生したPHEVであるため、プラグインハイブリッド・エレクトリックヴィークルの頭文字をとった「PHEV」と表記し、モーター駆動を活かした回生のさせ方やモーターによる4輪駆動制御を進化させ、現行のアウトランダーPHEVにつながっている。
今回ハリアーでは、「PHV」ではなく「PHEV」と表記を変えたが、元の仕組みがRAV4と通じているため、アウトランダーPHEVほどモーター駆動の特徴を活かし切れていない印象がある。
充電について、ハリアーPHEVは200Vの普通充電のみの対応で、それはPHEVの使い方として理にかなっているといえる。それに対して、アウトランダーPHEVは、EVが基ということもあるだろう、CHAdeMOの急速充電口を装備する。これによって、急速充電器での充電が可能になり、自宅に200Vの普通充電を設置できないマンションなどの集合住宅や、月極め駐車場を利用する人も、PHEVの特徴であるモーター走行を利用することができる。
ほかに、急速充電口を持つことで、クルマから外部への給電で、VtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)にも適応する。ただし、ハリアーPHEVも、専用のコネクターを普通充電口へ差し込むことで、家庭電化製品などへ1500Wまでの電力供給はできる。ただし、それは屋外活動や万一の災害対応のためで、日常的な自宅への給電はできない。
以上のように、PHEVとひとことで括れない性能や装備の違いが両車にはある。住宅や駐車場の環境、また出かけた先の道路環境の変化などを考慮し、自分にあったPHEVを選ぶとよいだろう。