9台のみが生産されたと噂される幻のスーパーカー! 「トヨタ2300GT」とは何ものなのか?

この記事をまとめると

■日本が世界に誇るスーパーカーのトヨタ2000GTには通称「2300GT」と呼ばれるモデルが存在する

■2300GTは直6SOHCの2M型にソレックス3連キャブレターを組み合わせたエンジンを搭載する

■すべて左ハンドル仕様として9台が生産されたが、正式に販売されることはなかった

謎多き2300ccエンジン搭載のトヨタ2000GT

 トヨタ2000GTといえば1967年にトヨタがリリースしたスポーツカーであり、当時としては最先端のDOHCエンジンや5速のフルシンクロトランスミッション(3速ATの設定もあり)に4輪ディスクブレーキ、リトラクタブルヘッドライトなど、技術の粋を集めて生み出された1台だ。それ故に国産車初のスーパーカーとも言われ、クラシックカーのオークションでは1億円を超えるプライスで落札される実績を持つなど、伝説的なモデルとなっている。

 そんな2000GTだが、車名の由来ともなった2000ccのDOHCエンジンのほかに、2300ccのSOHCエンジンを搭載した車両が存在しているのをご存知だろうか?

 この2300ccのエンジンを搭載した2000GT(2300GTと呼ばれることもあるが正式名称ではない)はすべて後期型をベースとした左ハンドルで作られており、トヨタが輸出販売を前提に制作したものと言われている。

 その心臓部の2300ccのエンジンは、輸出仕様のクラウンやコロナマークIIに搭載されていた2M型をベースにソレックスのツインチョーク3連キャブレターを組み合わせたもので、2M-B型と呼ばれた。またヘッドカバーもベースエンジンとは異なり、当時のハイパフォーマンスエンジンの証である結晶塗装が施されていた点も大きな違いと言える。

 最高出力こそDOHC2リッターエンジンに劣るものの、最大トルクは+300ccの余裕で2リッターモデルを上まわっており、よりGT性能が求められる北米市場を意識して生み出されたものと言われているのだが、実際北米市場で2300ccエンジンを搭載したモデルは公式に販売されておらず、真相は闇の中となっているのが現状だ。

 なお、2300ccのエンジンが搭載された車両は9台生産されたと言われており、その中の1台は北米にあるトヨタのミュージアムに収蔵されており、もう1台はなんと惜しまれつつ閉館してしまったお台場にあったメガウェブに展示されていた。

 当時の展示パネルには2000ccエンジンのスペックが書かれており、2300ccのエンジンが搭載されていることは一切触れられていなかったが、車名のところに「輸出仕様」と書かれており、国内仕様とは異なる点を静かに主張していたのである。

 結局、実際にカタログモデルとして市販されることはなかった2300ccのエンジンを搭載した2000GTではあるが、一説にはパーツカタログも存在していたと言われており、市販直前まで進んでいたものの、何かしらの理由で計画が頓挫してしまったものと思われる。

 いまだに謎の多い幻のモデルではあるが、いつかその謎が明らかになる日が来るのだろうか?


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
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