今後レバー式サイドブレーキは絶滅の一途を辿るだろう
電子パーキングブレーキのメリットはまだまだある。たとえば、シフターをPレンジに入れると自動で作動、発進時、アクセルペダルを踏むと自動解除してくれる車種は、パーキングブレーキが全自動ということになり、これは便利である。が、なかには、解除はアクセルペダルで行うことができても、作動はドライバーのスイッチ操作が必要な車種もある。中途半端な気もするが、開発者に聞くと、「ドライバー自らにパーキングブレーキをかけさせ、それを認識させるため」との答えである。ちなみに、一般的には、手動でも行える電子パーキングブレーキのスイッチは、引いて作動、押して解除の例が圧倒多数なのだが(レバー式と同じ方向)、5代目ホンダ・オデッセイは何故か、その逆。筆者も作動に戸惑うことがあった。ホンダのミニバンに足踏み式ブレーキが採用されていたことから、その名残りかもしれない。
電子パーキングブレーキの最大のメリットと言えるのが、自動運転の入り口にある機能でもある、高速走行で威力を発揮してくれるACC(アダプティブクルーズコントロール)との連携だ。電子パーキングブレーキが備わっていれば、いわゆる全車速域、渋滞対応、停止保持機能が付けやすく、渋滞時の自動停止保持、解除(自動追従発進)が可能になる。車種によって停止保持は数秒から、さらに長い間停止保持してくれる便利さがあり、高速走行時の渋滞での足腰の疲労を大きく低減してくれるのだが、それも電子パーキングブレーキありきのメリットと言っていい。
それだけじゃない。一般道の走行でも、電子パーキングブレーキに付随するメリットがある。それは、電子パーキングブレーキとセットで機能するオートブレーキホールド機能だ。信号待ち、スーパーマーケットなどの料金所で一時停止する際、オートブレーキホールド機能をONにしておけば、ブレーキペダルを踏み続けることなく、ブレーキが作動。一般道の渋滞時を含め、ブレーキを踏むための力、ストレスが低減し、それこそ靴底の減り!? まで減少するメリットがあるのだ。筆者は電子パーキングブレーキ最大のメリットだと感じているほどだ。
と、メリット絶大の電子パーキングブレーキだが、デメリットとしては、コストアップ(しかし今では搭載車が増えているのでほぼ解消。軽自動車への採用例も多い)、モーターなどの電子機器追加による車重増、そして、バッテリーが上がってしまうと、電子機器なので作動しなくなる点がある。が、どれも多大なるメリットと比べれば、どうということはない……とも言えるのだ。たとえスポーツカーであっても、これからの電動車時代には、クラシックなレバー式サイドブレーキは絶滅の一途を辿り、ユーザーメリットの多い電子パーキングブレーキに置き換えられていくことは間違いないところだろう。