全てダイハツのOEMとなったモデルの魅力とは? スバルの現行軽自動車を紹介 (2/2ページ)
残るふたつのOEMモデルと過去の人気軽自動車を紹介
シフォン/シフォンカスタム
価格:138万6000円〜201万3000円
シフォンはスーパーハイトワゴンのパイオニア、タントのOEM車です。標準モデルをベースにエアロパーツなどを装備したシフォンカスタムは、タントカスタム同様、今年10月に行われたマイナーチェンジでデザインを変更。2ピースとなったバンパーまで広がるほど大型化されたフロントグリルなど、派手さを増した意匠チェンジが行われました。
4代目となる現行型はタントのフルモデルチェンジにとともに2019年に登場。先代同様、広大な室内空間とBピラーレスのミラクルオープンドアを備え、とくに子どもがいるファミリー層からの支持が高いモデルです。
リヤシートの前後スライドは240mmと広い調整量を実現しているなど、室内の使い勝手は抜群。同ジャンルの軽自動車同様、高いユーティリティ性能を誇ります。
ただ先代とは異なるのがプラットフォーム。アンダーボディやサスペンションの高剛性化を図り、車体の安定性や乗り心地を向上させた「DNGA」と呼ばれる新世代プラットフォームを採用したのが大きな特徴です。
パワーユニットはKF型直3エンジンを搭載。カスタムだけでなく標準モデルにも最高出力64馬力を発揮するターボが用意されました。
※写真はダイハツ・タントカスタム
エンジンに組み合わされるのはスプリットギヤ式CVTで、どの回転域からでもスムーズな加速が味わるのが特徴です。
また16種類の予防安全機能が備わる「スマートアシスト」を全車に装備しました。
スバル・サンバーバン/サンバートラック
価格:104万5000円〜188万1000円(バン)、96万8000円〜145万2000円(トラック)
2021年にOEMの供給車となるハイゼットカーゴがフルモデルチェンジ。2022年1月に新型サンバーバンがやや遅れて登場しました。
プラットフォームにはダイハツが展開する「DNGA」を採用し、予防安全機能「スマアシ」を搭載するなど新世代の軽商用バンへと進化しています。
ただし同シリーズのサンバートラックは、供給元となるハイゼットトラックが2014年にフルモデルチェンジされたまま2021年にマイナーチェンジ。
トランスミッションにはCVT、4WDは電子制御式を採用するなど、バン同様、現在に通用する軽トラックへと大きく進化を果たしました。
またキャビンをやや拡大し乗用性能を高めたグランドキャブもラインアップしています。
スバルのこだわりが詰まった歴代の自社開発軽自動車
こだわりや魅力を備えていたスバルの軽自動車をピックアップして紹介していきましょう。
スバル360(1958〜1970年)
スバルの軽自動車を語る上で外せないのがスバル360。スバルの前身となる中島飛行機が備えていた航空機の技術を取り入れ、スバル初となる軽自動車として開発されました。
スバル360はモノコックボディを採用したことで軽量化を実現。360cc直2エンジンをリヤに搭載することで大人4名が乗車できる室内空間を確保しています。
サスペンションはフロントがトレーリングアーム式、リヤはスイングアクスル式を装備した4輪独立式を採用。スプリングは国産車として初となるトーションバーを備えたことも特徴といえるでしょう。
デビュー時は16馬力だった最高出力は改良を重ねることでパワーが向上していき、1968年にはツインキャブレターを装備して36馬力を実現。同エンジンはスポーツ仕様のスバル360 ヤングSSに搭載されました。
スバル360は1970年まで10年以上に渡って販売されましたが、スバル軽自動車の原点であり、国産軽自動車のパイオニアとしても大きな存在感を誇ったモデルでした。
初代プレオ(1998〜2010年)
スズキ・ワゴンRの登場をきかっけに軽自動車のスタンダードとなったトールワゴン。その波に乗り遅れまいとスバルが投入したのが初代プレオです。ヴィヴィオの後継モデルとして開発されました。
ただし、2010年に登場した2代目プレオはダイハツからのOEMとなっています。
ワゴンRと対抗するため全高を高くとるミニバン的スタイルを採用していましたが、スバル曰く同車はあくまで「5ドアワゴン」だと主張。当時、好評を博していたレガシィツーリングワゴンの軽自動車版として、リヤピラーまわりのデザインにイメージを反映していました。
初代プレオに搭載されたパワーユニットは直3エンジンが主流となった、いまの軽自動車には用意されない660cc直4エンジン。NA、マイルドチャージ、スーパーチャージャー(これらはSOHCエンジン)、さらにDOHCスーパーチャージャーと4種類の直4エンジンをラインアップしていました。
またサスペンションは全車4輪ストラット/コイルの独立式を装着。「RS」のみならず、すべてのグレードで上質な走りを実現していたところも特徴です。
初代プレオはデビュー後、軽自動車のレベルを越えた質感を備えていたことなどで評価が高く、販売的にもまずますの売れ行きとなりました。乗用モデルだけでなく商用モデルやフロントマスクを変更しレトロ調に仕立てた「ネスタ」、ファニーなスタイルを採用した「ニコット」などを追加するなど、バリエーションを拡大していきます。
スバルR1(2005〜2010年)
プレミアム軽クーペとして2005年に登場したスバルR1。スバル360を彷彿とさせるエクステリアデザインや、軽自動車のレベルを超えた上質なインテリアを装備。当時としても異質だったパーソナル軽カーでした。
デビュー時はすでに室内空間を重視するハイトワゴンが売れ筋となっていましたが、R1ならびに姉妹車となる4ドアのR2はデザインを重視。インパネの一部がボディカラーと同色でコーディネートした質の高いインテリアなど、特別な軽自動車に仕上げるというスバルの大きなこだわりを感じました。
筆者も試乗したことがありますが、シートの作りが2時間以上のロングドライブでも疲労を感じさせることがないほどしっかりとした作りだったことが印象的です。
パワートレインは660cc直4エンジンを用意。NAをはじめ、スーパーチャージャー付きもラインアップされました。
外観やインテリアの質感とともに、高速走行での直進性やコーナリングの安定性など走りの高さも特徴的。軽自動車のレベルを超えた走行フィールもスバルのこだわりといえるでしょう。
まとめ
ダイハツのOEMとなったスバルの軽自動車ですが、セダンからハイトワゴン、商用車まで幅広いラインアップを誇ります。
ただ、スバル360をはじめ、過去に自社生産されたスバル軽自動車を振り返るとやや寂しく感じるのも事実。今後、軽自動車を自社開発することはないと思いますが、その思想を受け継いだ小型車などの登場を期待したいものです。