もしかしたら世界一の激戦区!? バカ売れ市場なのに伸びない「負け組」軽自動車3台とその理由 (2/2ページ)

あまりにもライバルが強過ぎるケースも

 全高が1600mmを超える比較的背の高い軽自動車では、キャストも2022年1カ月の平均届け出台数が約1200台と少ない。その背景にはキャストの成り立ちがある。もともとキャストは、1車種で複数のシリーズをそろえることが特徴だった。2015年にSUV風のアクティバ、都会的なスタイル、少し遅れてターボエンジンのみのスポーツも加えた。

 しかし売れ行きは伸び悩み、発売された翌年の2016年でも、1カ月平均届け出台数は約5500台でタントの約40%であった。2017年には1カ月平均が約3800台に下がり、月販目標の5000台を下まわった。

 キャストの狙いはアクティバ/スタイル/スポーツを用意して性格の異なる軽自動車を合理的に販売することだったが、実際は車種のイメージが分散された。とくにキャストが発売された2015年には、スズキの先代(初代)ハスラーが好調に売られ、1カ月平均届け出台数が約8000台に達していた。キャストアクティバはそのライバル車として投入されたが、スタイルやスポーツまで用意すると、SUVのイメージが薄くなってハスラーに対抗できなかった。

 都会的なキャストスタイルは、車種の印象がタントカスタムに近い。キャストにはスライドドアも装着されず、売れ行きが低迷した。キャストスポーツはホンダN-ONEに近い。このように3タイプをそろえたことが裏目に出て、いまはキャストスタイルだけを細々と売っている状況だ。

 N-ONEも2022年の1カ月平均届け出台数が約1600台と少ない。ちなみに2020年のフルモデルチェンジではプラットフォームを変更したが、外装パネルは変えていない。なぜならN-ONEは、1967年に発売されたN360をモチーフにデザインされ、無理に変えるとN360から離れてしまうからだ。

 つまり「変えられなかった」わけだが、これではフルモデルチェンジを行ったことを表現できない。古い車種をモチーフに新型車を開発する宿命で、売れ行きが伸び悩んだ。また、N-ONEには6速MTの設定など注目すべき点もあるが価格が高い。6速MTを選べるRSは199万9800円だ。N-ONEはN-BOXと違って後席や荷室が狭く、電動スライドドアも装備されない。割高感が生じてN-ONEが販売を低迷させる原因になっている。


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