クルマが文化として根づくイギリスはスポーツカーが豊富
ミッドシップのスーパーカーを生み出したメーカーとして忘れてはならないのは、「アスカリ・カーズ」と「ノーブル・オートモービル」だ。正確には前者はすでに2010年以降、新型車の生産は行っていないが、そのメンテナンスやカスタマーのサーキット走行のサポートなどはまだ継続している。
一方のノーブルはレスター州のバーウェルがその本拠地。それ以前にもさまざまなスポーツカーの設計に携わっていたエンジニアのリー・ノーブルが、自らの名を掲げたノーブル・オートモーティブを設立したのは1998年。ファーストモデルとなったのはM12 GTOで、その人気の高さから遠く離れた南アフリカに生産拠点を増設。その後M400、M15、M600と次々に新作を発表。今年2022年にはM500をラインアップに追加している。
サマセット州クルーカーンの「アリエル・モーターカンパニー」は、まさに現代のロータス・セブンともいうべき、軽量で高性能なスポーツカー、アトムを少量生産しているメーカーだ。ちなみにアリエルといえばバイク・メーカーが有名だが、両社の間には一切の関係はない。
アトムの成り立ちは非常にシンプル。ホンダのシビック・タイプRなどのパワーユニットを搭載し、ボディの外皮を持たないため、車重は500kg以下に抑えられている。また、2022年にはガスタービンを搭載し、それによって発電した電力で1217馬力を得るハイパーカーも発売。自動車メーカーとしての規模は非常に小さいものの、その革新的な技術への取り組みは大いに評価しなければならないだろう。
かつて2004年に0-100マイル加速のワールドレコードを樹立したのは、2019年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに、ウルティマRSをエントリーし、その圧倒的なパフォーマンスで観客を驚かせてみせた、レチェスター州ヒンクレイの「ウルティマ・スポーツ」。そのRSをコアモデルに、エボリューションクーペや同コンバーチブルなど、生産車のバリエーションは幅広い。
ピーターボロー州ウエストウッドの「ラディカル・スポーツカーズ」も、カスタマーのサーキットユースにフォーカスをあてたスポーツモデルを数多く生産している。ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでのラップタイム記録への挑戦でも知られるメーカーだが、自らイギリスやアメリカ、オーストラリアなどでワンメークレースを主催するなどの活動も、多くのファンを生む原動力となっている。
「グリナル・スペシャリスト・カーズ」。この会社の名前も、おそらくは日本ではごく一部の人が知るところ。このメーカーが現在おもに生産しているのは、前に2輪、後に1輪というトライク(3輪車)のスコーピオンⅣ。1990年代初めにその開発がスタートしたこのモデルには、アウディ製やBMW製などのエンジンが組み合わされた。
さてここからは自由と正義の国、アメリカに話を進めたいところなのだが、さすがにこちらも話は長くなる。というわけで再びの小休止。ちなみにアメリカ車の有名なブランドでも、すでに廃止されたもの。例えばGM系ならば、「ポンティアック」や「オールズモービル」、「ジオ」、「ラサール」、「サターン」、「オークランド」、「エルモア」などというブランドには触れないのでご安心を。
それでもいくつあるのだろう。アメリカの自動車メーカー(ブランド)って。まあそのなかからマイナーなものを選択すればいいのだから、少しは気も楽になってきたけどね。続く。