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シャコタン化したな……と思ったらタイヤないじゃん! 人ごとじゃない「盗難地獄」を見た男の悲惨すぎる末路 (2/2ページ)

シャコタン化したな……と思ったらタイヤないじゃん! 人ごとじゃない「盗難地獄」を見た男の悲惨すぎる末路

この記事をまとめると

■セキュリティシステムや防犯カメラなどの普及で車両盗難は全体として減少傾向にある

■それでも無くなってはおらず、クルマ好きにとってみればおちおち枕を高くして寝てもいられない

■車両盗難被害にあったとある人物の不幸な物語を紹介する

駐車場にある愛車から感じる違和感

 クルマ好きとしてもっとも耐え難いことといえば、事故や悪質ないたずらで愛車にダメージを受けることでしょうか。あるいは、盗難というのも心に深い傷を負うものかと。近年はさまざまなセキュリティデバイスや防犯カメラの増加といった環境面から少なくなってきているかのようで、実際、発生件数は減少傾向にあり、検挙率は向上しています。

 が、恐ろしいのは盗難車両の4台に3台は「キーなし」状態で、また約3分の1が一般住宅で盗まれているということ。つまり、ウチの駐車場に「ロック」して置いてあっても盗まれるときは盗まれるということにほかなりません。また、ナンバープレートが盗まれるケースも増加しており、クルマ好きとしてはおちおち高い枕では眠れないといっても過言ではなさそうです。

「およそ、私ほど運に見放された男もいないでしょう」タケイさん(仮名)は小さな背中を丸め、ため息まじりでつぶやきました。都下の団体職員で、そこそこのポジションを務めていますが、実家はちょっと知られた大地主の家系です(ただし三男なので立ち位置は微妙)。若いころからクルマに心血を注ぎ「週末の湾岸」や「大黒ふ頭」に自慢の愛車でたびたび出没していたそうです。

「一番はじめに盗まれたのはステッカーでした。当時●PTIONのステッカーは人気だったので、気軽に貼っていたのも悪かったのですがね」と昔を見つめるように目を細めるタケイさん。盗まれた場所は「多分、どこかのパーキングエリアでしょう。ボコボコのFC(RX-7)に乗った目つきの悪いふたり組がずっとこっちを見てましたからね」

 深夜とはいえ、照明も整備されているパーキングエリアでの大胆な犯行。タケイさんは苦々しげに口を歪めたのでした。

「次はアルミホイール、お約束ですよね」歪んだ口もとに小さな笑みのようなものが見えました。「朝、ウチの裏にある駐車場にいくとなんとなく違和感があったんですよ。車高がやけに低いっていうね。いくら自分でもこんなにシャコタンだったっけと、笑ってしまいました」

 ホイールを外した後、犯人はブロックを車体下にかませていったため、残されたクルマの車高が見事に下がっていたということでしょう。

「車高が低いものですから、すぐにはホイールがないことに気づけませんでね。あやうくそのまま乗り込んで出勤してしまうところでした」恥ずかしげに鼻の頭をかくタケイさん。それにしても、盗難対策などは施していなかったのでしょうか。

「タイヤショップですすめられて、振動検知式のセキュリティデバイスをつけました。クルマの外からインジケーターがピコピコ光るやつ。ですが、あれこそ窃盗団にとって目印になってしまうのでしょうね。装備した翌週だったかな、再びシャコタンになってました。警報音? まったく聞こえませんでしたよ。やつら、解除用のリモコンでも持ってんじゃないですかね」

 筆者が知るケースでは、ショップのセンサー取付担当者が窃盗団とグルだったこともあります。それをやんわりとタケイさんに伝えると「私も頭に浮かびましたが、証明のしようもないでしょう。それでも泣き寝入りだけはしたくなかったので、保険料が上がるのを承知で車両保険を使いました」

 ただでさえ高額になりがちな車両保険ですが、盗難事案によって料率が上がってしまうのは痛い出費。「それでも、クルマを盗まれるよりはましだと思っていたのです」そう言うと、タケイさんの瞳に獣のような光がともりました。

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