ライバル不在のデザインはいま走らせても注目の的必至!
名車を輩出した「ときめきのデザイン」
3台目は、マツダの「ランティス」です。5チャンネル体制の後期である1993年に発売されたクーペとセダンですが、ここでのオススメは、よりスタイリッシュな前者の4ドアクーペとします。
「スポーティコンパクト」として「ファミリア」よりひとつ上のクラスとしたボディは、全長4245mmに対して2605mmというロングホイールベースが特徴で、短い前後オーバーハングが抜群のスタンスのよさを醸成。デザインの話ではありませんが、コンパクト設計のV6 DOHCエンジン搭載も話題でした。
当時の「ときめきのデザイン」を思わせるボディはじつに流麗で、キリッとしたフロントランプや、大型ガーニッシュ一体型のリヤランプがいいアクセントになっています。マツダ創立100周年の人気投票で何と1位となったランティスは、隠れた名車として今後も輝き続けるでしょう。
欧州発の超未来的スペシャリティSUV
次はいすゞの「ビークロス」。セダン市場から撤退した1993年、同社は東京モーターショーに「ヴィークロス」名のコンセプトカーを出品、高い評判を受け、4年後に市販したスペシャリティSUVがビークロスです。
ロータスからいすゞの欧州スタジオに移籍したサイモン・コックスによるスタイルは、メタリック感溢れる上半身と、PP素材を最大限に生かしたブラックの下半身の組み合わせがじつに魅力的。ボディと一体感のあるフロントグリル、スペアタイヤ内蔵のリヤパネルは近未来感全開です。
後期には、じつに25色ものカラーバリエーションを展開したビークロスですが、3ドアのみの設定故か、販売的には成功作とはなりませんでした。しかし、その先進的スタイルは色褪せることなく、現代のカーデザイン史にしっかり名を残しているのです。
イタリアンデザインの高性能2ドアクーペ
最後は、スバル「アルシオーネSVX」です。「レガシィ」の成功により勢いに乗る同社が、「500miles a day」のコンセプトで送り出した2ドアの高性能グランドツアラーです。
非常にスリムなクーペボディながら、大きなキャビンを組み合わせるところが、実用性を重視するジウジアーロらしいところ。グラスtoグラスのラウンド形状はまさに近未来的で、3次元曲面ガラスが高いクオリティを表現。スリムながら迫力あるブリスターフェンダーも自慢です。
少々奇抜だった初代から一転、パーフェクトなプロポーションを持ったSVXは、もともと北米市場を意識したこともあってか、国内では少々苦戦しました。しかし、時間的な耐久性を持つこのスタイルは今後も輝き続けるはずです。
さて、今回ピックアップした5台はいかがでしたでしょうか。デザインの方向性は各々違いますが。それぞれが明快なテーマにより普遍的な魅力を持つことに成功しています。その志の高さには、いまでも手に入れるべき価値があるのです。