構成部品が少なく各車における部品の共通性が高いのがメリット
具体的には、まず製品(商品)企画としては、車種展開の大きな差だ。言わずもがな、テスラは「モデルS」「モデルX」、「モデル3」、そして「モデルY」という4車種しかなく、部品の共通性も極めて高い。
一方、トヨタの車種はグローバルで極めて多く、車体のTNGAなどでの部品の共通性はあるものの、テスラと比べると圧倒的に部品の共通性は低く、部品の調達コストは必然的に高くなる。
また、調達する部品点数もトヨタはテスラに比べて圧倒的に多い。ガソリン車やハイブリッド車などに比べて、EVの構成部品はかなり少なく、トヨタはまだEV車種展開が少ない。
そのうえで、トヨタは系列部品メーカーが多く、それら各社関係性を維持するためにさまざまなコストもかかるが、テスラは電池など一部の部品を除いてテスラが直接相手の経営に関与するような部品メーカーは、ほぼない。
そして、販売網については、トヨタは日本の一部で直接資本の販売会社を持つが、その他がいわゆる地場資本の企業だ。それらに対して、トヨタは新車を製造して卸売り販売を行う。一方、テスラは基本的にユーザーに対してテスラからの直接販売の体系を取るため、販売における中間マージンが必要ない。
こうした中、2010年代後半からのESG投資(財務情報だけではなく、環境、社会性、ガバナンスを重視した投資)というグローバルでの大嵐が吹き荒れて、テスラの事業を大きく後押ししたのだ。
以上、簡単だが、一般論としてトヨタとテスラの商売の仕組みの違いを紹介した。