この記事をまとめると
■未舗装路や悪路で能力を発揮できるスーパーカーがトレンドになりつつある
■そんななか、ランボルギーニがオフロードモデルとなる「ウラカン・ステラート」を発表
■44mm高められた車高で起伏の激しい岩場や砂地といった路面でも安定した走行が可能
ランボルギーニの最新限定モデルは1499台のオフローダー
スポーツカーを未舗装路や悪路でもパフォーマンスが発揮されるようカスタムすることは以前から行われてきたこと、ご承知のとおり。全輪駆動をはじめ、ホイールトラベルを増やすなどサスペンションの強化は、言うまでもなくラリーをメインステージとしたカスタマイズ。ですが、最近のスーパーSUVともいえるようなオフロードカスタムはちょっとニュアンスが違う気がします。
たとえば、つい先日マイアミで発表されたランボルギーニ・ウラカン・ステラートは、例によって1499台限定、ワンオフモデルという触れ込みですが、特段ラリー参戦などのニュースは追加されていません。同社にとって、ウラカンは生産管理がしやすいモデルと思われ、生産台数も比較的多いもの。それゆえ、工場でも1000台規模であればこうしたワンオフを滑り込ませることも十分可能なのでしょう。
基本的なパッケージはウラカンそのもので、大きく変わっているのは44mmも上げられた車高、悪路でのトラクションを有利なものにするタイヤサイズ、そして砂埃などを吸いづらいルーフトップのエアインテークの追加、程度です。が、ステラートをきちんと設計どおり、狙いどおりに走らせようとするのは至難の業だったに違いありません。
まずは、車高を上げる、すなわち車体下にスペースを作ること。クロスカントリー車やトラックと同様にダンパーの延長や、取付位置の変更がなされていることは想像に難くありません。ただし、618馬力を発揮するV10エンジンをミッドシップしたスーパーカーですから、無理難題は山積みだったはず。エンジン&ミッションの位置に対し、タイヤへ延びるドライブシャフトに下降角がつくことはどんなクルマであれ望ましいことではなく、まして大パワーを発揮するとなれば応力も増大するため、強度計算以上のリスクマネジメントが要求されることでしょう。
これに対し、ステラートはタイヤサイズとトレッドの増幅というソリューションを選択しています。ストックのウラカンEVOがF245/30ZR20、R305/30ZR20というタイヤを装着しているのに対し、ステラートはF235/40R19、R285/40R19とナロー化とサイズダウンを実施。バネ下の軽量化で駆動部にかかる応力を少しでも軽減したい狙いがひとつと、言うまでもなく悪路でのトラクション、走破性を見据えたチョイスといえるでしょう。
もっとも、タイヤはブリヂストンがステラートのために開発したといわれるランフラットタイヤですから、従来どおりの製品であればさほどの軽量化は望めないはず。それでも、パンクして空気圧ゼロになっても80km/hで走行可能という優れモノで、砂漠でパンクしても自力で帰ってこられるというのは頼もしい性能ではありますね。