GRヤリスの兄貴分は例えるなら911GT3のような存在だ
■GRカローラのスペック
ここでは超ホットなGRカローラの話を進めるが、まずはスペックチェック。カローラがGRファミリーの一員になるには、相当の性能アップが必要だ。
GRカローラの標準モデルはGRヤリスと同じ1.6リッターターボを搭載し、最大出力はGRヤリスの272馬力よりもパワーアップした304馬力。最大トルクは370Nmと同じだが、重量はGRカローラが重い。しかし、兄貴分となるGRカローラはどうしてもヤリスよりもパフォーマンスを高める必要があり、ギヤ比を徹底的に見直すことで、0-100Km/h加速データではGRヤリス5.5秒よりも速い5秒前後を実現した。さらにより軽量化したスペシャルなモリゾウ・エディションは4.92秒と発表している。
そして、カローラの優位性はサスペンションにもある。リヤサスペンションはヤリスと同じ形式だが、フロントサスはCセグメントのシャシーを使うので、Bセグメントのヤリスよりも剛性やレイアウトの点で有利だ。ボディもしっかりと剛性を高めているから、ロードカーとしては洗練している。
ホイールベースも長いので、実用車としても便利だ。たとえるなら、ポルシェ・ケイマンと911カレラの関係に似ている。
■サーキットの狼にたりうるか?
サーキットの印象は加速減速しても、ボディがフラットライドなので安心感が高い。コーナーリングは限界がつかみやすく、タイヤの接地感がステアリングホイールを通じて、使わってくる。
ブレーキを残してターンインしても、リヤは落ち着いているし、リヤ寄りのトルク配分ではスムースにリヤがリバースする。この辺りの挙動は、ヤリスよりもスムースなので、コントロールしやすい。シフトフィールも節度感があり気持ちよくMT車を乗りこなせる。
ラップタイムはGRヤリスよりもやや速い程度だった。タイヤはヨコハマの「アドバン アペックスV601ー235/40R18」を履く。このタイヤはGRカローラ専用に開発されている。
究極のGRカローラとしてモリゾウ・エディションがラインアップされているが、こちらのスペックは興味深い。軽量化はもちろんのこと、エンジンのトルクが高まり、さらにダンパーは前後ともモノチューブ方式で、フロントストラットは倒立式を採用し、横力をしっかり受け止めることができる。
タイヤはワンサイズアップしたミシュランのパイロットスポーツ カップ2。このモリゾウエディションは、グリップとドリフト走行のどちらでも、気持ちよく走れる。ポルシェに例えるなら911GT3のような孤高の存在だ。
最後にラリーカーとしてのポテンシャルをチェックする。グラベルの世界では、重さは有利になるということを証明している。タイヤのブロックが路面に食い込むには接地圧が必要なので、GRカローラはGRヤリスよりも走りやすかった。というか、タイヤのグリップ感が大きく異なっていた。GRヤリスは暴れ馬のような操縦性だが、GRカローラはよく調教されたサラブレッドように自在に走れた。
GRカローラが登場したことで、GRブランドが目指す方向が見えてきた気がした。レクサスや通常のトヨタ車には走りの世界を切り拓いている。単なる速いスポーツカーではなく、洗練されたスポーツモデルこそが、GRが目指す姿ではないだろうか。