雪国以外は処分に困る! 知らずにやると違法になる「除雪した雪」の置き場所 (2/2ページ)

下水に流すことも禁じられている

 タイヤは、円盤状の車輪がただ転がっていくだけだと思われがちだが、じつはタイヤ接地面が路面を叩くようにして走っている。したがってそこに余計なものがあれば、乗り上げたり、柔らかい雪とはいえ塊になれば路面にタイヤが接地できず、滑ってしまったりすることになる。

 道路脇の側溝などへ雪を投げ入れ、下水に流そうと考える人もいるかもしれないが、これも下水管内で雪が溜まり、道路に下水が溢れ出る恐れがあるので、下水道法で禁じられている。降雪地域には雪を処理するための側溝をあえて設けている場合があるが、非降雪地帯の都市部などでは通常の下水管を通じて雪を処分することはできないのである。

 河川も、除雪した雪を処分することを認めた場所以外には雪を捨てることができない。積み上げられた雪が一気に融けだし、水位があがると危険だからだ。

 敷地内に積み上げて除雪するといっても、都市部では敷地にゆとりのない場合がほとんどだ。したがって以上の禁止事項をみると、除雪など不可能ということになりかねない。クルマや人の通行をできるだけ邪魔しない場所を選び、道端に寄せるしかないだろう。

 大雨による洪水など含め、想定以上の降雪の可能性も、すでに気候変動が起きている現在、非降雪地域でも高まっていくだろう。地域行政は、大雪が想定外とならないような防災対策を早急に練る必要がある。また住民も、快適で安全な暮らしを維持するため、地域行政との交流を深め、これまで考えてこられなかった対応を新たに摸索する発想が求められるだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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