欧州はエンジン淘汰の流れなのにハイブリッドを新規開発! 謎に思えるルノーの戦略の答えとは (2/2ページ)

ルノーは世界全体をよく見てクルマを作っている

 とはいえE-TECHハイブリッドはかなり凝ったシステムであり、コスト面も気になるところ。こちらについては搭載車種を増やし、同じメカニズムを使ったプラグインハイブリッド仕様も用意するなどして、スケールメリットを生かすという答えが返ってきた。

 アライアンスを組む日産が数年前から販売しているe-POWERを使わなかったのは、ヨーロッパの高速道路では現実的な110km/h以上で効率が落ちるし、エンジンの回り方が加速とリンクしておらず良いイメージがないという答えが返ってきた。

 一方でアルカナについては、もともとヨーロッパがメインマーケットではないという答えも返ってきた。韓国で生産され、同国ではルノーコリアXM3として販売されていることでもわかるように、アジア太平洋地域のマーケットを重視しているという。

 ディーゼルを搭載しないうえに、MTの用意もないことがその表れ。代わりに日本やオーストラリアなどを想定して、当初から右ハンドルのラインアップを視野に入れて開発している、とのことだった。

 ルノーの開発陣は日産とのアライアンスの関係で、日本で一定期間仕事をした経験を持つ人が多い。ヨーロッパのブランドでありながら、日本をはじめとするアジアの事情をよく知っている。

 これもE-TECHハイブリッドを生み出した理由のひとつと考えている。デザインやメカニズムから見る限りでは、いまだにフランスらしさの濃いブランドだと思うけれど、じつは世界全体を見つめたクルマづくりをしているのである。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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