この記事をまとめると
■東京モーターショーが2023年開催から「ジャパンモビリティショー」に名称変更
■先進国のモーターショーは勢いがなくなってきている
■世界からの注目度が薄れてしまっているのが近年の東京モーターショーの現状
今やモーターショーの絶対的人気がなくなっている
東京モーターショーが、2023年開催から“ジャパンモビリティショー”として装いも新たに再出発を図ることになった。
かつては、IAA(国際モーターショー/通称:フランクフルトショー/現ミュンヘンショー)、NAIAS(北米国際オートショー/通称:デトロイトショー)そして東京モーターショーは、“世界三大モーターショー”などともいわれたが、いずれも近年は衰退の一途をたどっていると表現するのがふさわしい状況となっている。
近年ではドイツを含む西ヨーロッパ諸国では気候変動問題が大きく取り上げられており、直近では、自らの主張を行うために美術館で名画を汚したり、空港に立ち入って騒ぎを起こすなど、行動がエスカレートしているようにも見える。フランクフルト開催であった最後(2019年)とその前の回あたりのIAAでは、会場入口近くで環境保護団体がシュプレヒコールをあげていたり、開催中の会場内で展示車両の天井などにのぼり自動車メーカーを批判するような言動を発するなど、かなり荒れた状況のなかで開催されている。従来のような形式での自動車ショーの開催では出展メーカーにとって、販売促進どころか参加することがリスクの高いものとなった。
デトロイトショーはかつてビッグ3と呼ばれたアメリカンブランドの凋落とともに、ショーの情報発信力が弱まり、もともとデトロイトとその近郊の人口も少なく、集客にも問題があったことから、近年では出展をとりやめるメーカーが続出している。直近の2022年開催では、完成車メーカーはほぼアメリカンブランドのみの出展となっていた。
東京モーターショーは、まず世界一の自動車市場となったお隣中国で開催される上海や北京そして広州モーターショーなどが台頭し、中国系以外のメーカーの出展も多く、その情報発信力の高さから一気にアジアを代表するモーターショーの地位を事実上奪われてしまった。また日本国内でのクルマに対する消費者の興味が薄れた、つまり“クルマ離れ”も大きく影響しているともいわれ、ショーの衰退が止まらない状況が続いていた。
筆者が見る限りは先進国開催のオートショーは全般的に勢いを失っているように見える。とくに欧州は前述したように、クルマ(内燃機関車)を“気候変動を起こした要因のひとつ”と捉え敵視するグループが台頭しており、前述したとおり、コロナ禍前から抗議活動も活発に行われメーカーもショーへの参加はリスクが高いと見る動きが目立っていたなか、新型コロナウイルス感染拡大が起こり、ショーの開催自体ができないようになり、一気にメーカーのショー離れが加速しているように見える。