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ポルシェ911なのにRRを捨てた! 打倒マクラーレンで誕生した「911GT1」という最強の異端児 (1/2ページ)

ポルシェ911なのにRRを捨てた! 打倒マクラーレンで誕生した「911GT1」という最強の異端児

この記事をまとめると

■ポルシェ911といえばRRがお決まりだが、じつはミッドシップの911も存在した

■ル・マンGT1カテゴリーに参戦するために開発されたレーシングカーの911GT1がそれだ

■911GT1はホモロゲ取得のためにデチューンされたストリートバージョンも市販された

敵がミッドシップならこっちもミッドシップにすればいい!

 ポルシェ911といえば、エンジンを後輪軸上に配置して、後輪を駆動するRR方式をかたくなに守り続けてきたクルマ。ですが、歴代911のなかで、ミッドシップレイアウトを選んだモデルがありました。今回ご紹介するのは、ル・マンGT1カテゴリーに参戦するためのホモロゲーションモデルとして誕生した911GT1。車名にこそ911とついていますが、その実態は似ても似つかないスポーツカー(というかレーシングカー)です。

 そもそもは1995年、ル・マン24時間耐久レースの主催者(フランス西部自動車連盟)がレギュレーションを「本来の」GTカーへとシフトしたことが端緒でしょう。この年の覇者はマクラーレンF1という希代のGTマシンで、ポルシェが送り込んだ993GT2はまったくと言っていいほど歯が立ちませんでした。そこで、バイザッハの首脳陣はある人物をレーシングカー部門に復帰させることに。1970~80年代のル・マンにおけるポルシェ黄金時代を築いた数々の博士のうち、レーシングフィールドを退き生産者管理部門で余生を過ごしていたノルベルト・ジンガーはその抜擢を「嬉しい驚きだった」と語っています。

 ベテラン中のベテランたるジンガーは、すぐさまポルシェのおかれた現状、レギュレーション、そしてライバルたちの動向を調べると、わりと簡単にソリューションを打ちだしたようです。「敵がミッドシップの怪物なら我々もミッドシップにすればよい」と。

 ここで思い出していただきたいのが1994年ル・マン24時間レースの覇者。グループCカー最後の年であり、レギュレーションがフワフワしていたのをいいことに、ポルシェがグループCカーをロードカーに作り替えた「ダウアー962LM」でGTクラスにエントリー、まんまと優勝をかっさらっていったのです。レギュレーションの隙をつくのが上手なポルシェとはいえ、これにはほかのエントラントたちも歯ぎしりが抑えられなかったはず。

 翌1995年シーズン、ポルシェにはWSC95(TWR製シャシーにポルシェのエンジンをミッドに積んだWSCカテゴリーのマシン)というレーシングカーがあることはありましたが、1994年のレースで批判を浴びたことを反省したのか、これをGTカーに作り替えるような無茶はせず、参戦見送りということに。そして、1996シーズンを待つことにしたのですが、レギュレーションで「25台以上の市販車製造」が義務付けられていたため、ジンガーがどう出てくるのかと社内だけでなく、ライバルたちは虎視眈々だったはず。

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