この記事をまとめると
■運転が上手い人やクルマを走らせるのが速い人が乗りがちなクルマをピックアップ
■軽トラックや商用車に乗る若い人は実戦経験が豊富な傾向にありペースが速い場合が多い
■クルマの完成度が高いモデルに乗っているユーザーも運転が上手い傾向にあるかもしれない
運転が上手そうな人が乗ってそうなクルマを勝手に考えてみた
筆者は元レーサーでもなんでもない「モグリの自称自動車ライター」に過ぎないため、運転がとくに上手いわけではない。だが週末限定ではなく平日も、なんだかんだで30年ぐらい運転し続けていれば、「サンデードライバー」の人よりはちょっとだけ上手くなるのが道理というもの。
そのため、峠道などを「普通か、普通よりはちょっと速いぐらいのペース」で安全に走る程度の作業は造作もないことゆえ、観光地などの山坂道で「前のクルマにぜんぜん追いつかねえ! あいつ……速い、速すぎるぜ!」みたいに思ったことはほとんどない(もちろん、追いついたところで煽ったりはしてませんよ)。
だが過日。西伊豆の某所に赴いた際に違和感を感じた。
前方を走るクルマがすべて速いのだ。ちょっとだけ頑張ってプッシュする感じで走らないと、どんどん差が開いていくのである。そして筆者のクルマ(車種は現行型レヴォーグSTIスポーツである)にどんどん差をつけていくクルマの数々は、決して「地元の80スープラ」とか「でっかい羽根が付いたWRX STI」とかではない。
田舎道でしばしば遭遇する「ごく普通の軽バン」や、「(たぶん)出先から営業所に戻る途中のハイエース」等々が、めちゃめちゃ速いのである。いや速いというか「上手い!」といった感じなのだ。
なぜ西伊豆のドライバー各位はおしなべて速いのか? その理由はいまださっぱりわからないが、私の脳内に「とにかく西伊豆の人々は運転が上手い!」とのイメージは、しかと刻まれた。
そして翻って「運転の上手い人が多いイメージのクルマ」である。
私のなかの「西伊豆の人々=運転が上手い」というのもイメージに過ぎないわけだが(なぜならば、おそらくは“例外”も多数いらっしゃるだろうからだ)、世の中には、実際の腕前はさておき、それに乗ってるだけで「この人、運転上手そうだな……」とイメージさせるクルマがいつくかあるものだ。
その筆頭格は「30代から40代ぐらいの男性が田舎で乗ってる軽トラまたは軽バン」だろうか。
田舎のおじいちゃんやおばあちゃんが運転している軽トラは「蚊がとまりそうなスピード」で走っている場合が大半だが、30代から40代ぐらいの男性が乗っている軽トラまたは軽バンは――西伊豆だけでなく全国的に――上手さと速さを予感させる。実際にかなりキレのあるコーナリングをしているそれをよく見かけるし、かなりジェントルな運転をなさっている場合でも、ここぞというタイミングでは、キレとコクのあるドライビングを瞬間的に披露したりもする。
やはり飛行時間ならぬ運転時間の長さと、「いかなる道であっても仕事として走り切る」という実戦経験の豊富さが、人に「軽トラ/軽バン最強説」を想起させるのだろう。
30代から40代ぐらいの男性が田舎で乗ってる軽トラ/軽バンとほぼ同様のメカニズムで“最強幻想”を人に与えるのが「トヨタ・プロボックス」だ。
実際のプロボックスは「営業車を運転するのは……まぁ2カ月に1回ぐらいですかね」というビジネスパーソンが運転していたりもするのだろうが、見ているほうとしては「商談に遅刻しないための、ポール・フレール先生ばりのハイスピードドライビングテクニック。そして大型船に新車を積み込む“ギャング”と呼ばれている仕事人さんたちに近い駐車テク。……その両者を持ち合わせているドライバーに違いない!」と思ってしまうわけだ。