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効果は10倍に匹敵!? クルマの軽量化は「バネ下」が効果絶大だった (2/2ページ)

効果は10倍に匹敵!? クルマの軽量化は「バネ下」が効果絶大だった

この記事をまとめると

■クルマの軽量化によって得られる効果を解説

■バネ下重量と言われる足まわりの軽量化はかなり大きな効果があるとされる

■レースの世界では軽量素材や構造を工夫してより軽量化に励んでいる

クルマの軽量化って意味あるの? バネ下重量ってなに?

 極限の性能を追求するレーシングカーで、もっとも効果のあるチューニング方法は何か? もちろんエンジンパワーの増強も非常に大きな効力を発揮するが、クルマを運動する物体と捉えれば、軽量化がカギを握ることは自ずと明らかだ。

 車重が軽くなれば、そのぶんだけエンジンパワーの負担が軽くなり、動力性能の向上に結び付くが、さらに旋回運動を考えた場合でも、遠心力が小さくなるので運動性能が向上し、コーナリングの限界スピードも向上することにもなる。車体の軽量化は、自動車の性能向上に大きな効果をもたらすが、もちろんやみくもに軽くすればよい、というものでもない。重心位置を考え、可能な限り重量物を車体中心に集め、オーバーハング重量は極力軽減する。また、重心位置を下げるため、可能な限り重量物の搭載位置は低く設定し、上方は軽く仕上げることも鉄則となる。

 こうした軽量化に関するなかで、「バネ下重量」という言葉を耳にしたことはないだろうか。文字どおり、車両を持ち上げたときに下方に垂れ下がる部分の重量を指す言葉で、具体的なパーツとしてはタイヤ、ホイール、ブレーキ、サスペンションアーム、ダンパー、スプリングなどが該当する。このバネ下重量は、正確に定義されて車両仕様の一部として表記されることはないが、車両重量=バネ下重量+バネ上重量という捉え方をするとよいかもしれない。

 さて、このバネ下重量だが、古くから走行性能に大きな影響をおよぼす要素として「バネ下重量1kgの軽量化はバネ上重量10kgの軽量化に匹敵する」とも言われてきた。理論に裏付けられた表現ではないが、こう言われるほど車両の動きに対して大きな影響をおよぼす要素として考えられている。

 では、なぜバネ下重量の軽減が、車両の運動性能に対して大きな影響力を持つのか、その理由について考えてみたい。やはり、真っ先にサスペンションの上下動に対するタイヤの路面追従性が頭に浮かぶ。バネ下重量、つまりタイヤ+ホイール+ブレーキ(もちろんホイールハブなどの重量も含まれるが)の重量は、サスペンションの上下動に対して慣性質量として作用する。軽ければ路面変化に対して素早い動きを示すが、重くなるとその分だけ動きに遅れが生じることになる。言い換えれば、ハンドリング性能の低下を意味することになり、コーナリング性能や駆動力の路面伝達性に対しての支障が大きくなる。

 バネ下重量の軽減に関しては、ホイール、タイヤの軽量化が一般的で、かつて鉄製ホイールより軽合金ホイールが注目された理由のひとつがこの点にある。さらに、同じ軽合金ホイールでもアルミ合金よりマグネシウム合金のほうが軽く、絶対的な運動性能を追求するレーシングカーでマグネシウム合金製が多く採用されたのはこのためだ。

 また、タイヤ+ホイールの重量が軽くなることは、ブレーキ性能の向上を意味することにもなる。回転質量を持つタイヤ+ホイールの重量が軽くなれば、その分だけブレーキの利きがよくなることを意味するからだ。

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