効果は10倍に匹敵!? クルマの軽量化は「バネ下」が効果絶大だった (2/2ページ)

動力性能向上やハンドリング性能の向上に繋がるメリットは大きい

 さらに、厳密に言えば、ステアリングの応答性にも効いてくることになる。当然、回転系の質量が小さくなれば応答性は向上するからだ。ただ、応答性に関してそのレベルを数値化して示すことは難しく、一般的な性能評価基準として、バネ下重量の軽減=ステアリングレスポンスの向上という捉え方はあまりされないが、理屈の上では正論となる。

 なお、生産車の場合にはあまり例を見ないが、バネ下重量の軽減に結び付くメカニズム要素として、ブレーキ、サスペンションのインボード化も挙げられる。正確に表現するならインボード・マウント化となるが、バネ下(アウトボード)の領域にあるブレーキ、サスペンションをインボード化することで、バネ下の動きを軽快にする働きがある。やはり、レーシングカーで時おり見られる手法だが、マウントスペースや型式が制約されるなど、新たに対処すべき問題が発生する傾向も持ち合わせている。

 さて、現実問題としてのバネ下重量の軽減方法だが、ホイールを純正装着品からアフターマーケット品に換装する方法がある。この場合、純正ホイールは鉄製かアルミ合金製になるが、鉄製の場合は狭いリム幅(=純正装着タイヤの偏平率はせいぜい60%程度まで)の場合が多く、逆にいうと、同じリム幅サイズの軽合金ホイールはほとんどなく、ワイドリム化した分だけ重量が増えることになる。

 鉄とアルミの重量比較は、アルミニウム(アルミ合金ではない)の比重が2.7、鉄の比重が約7.9だから、同体積の場合、アルミの重量は鉄の約34%となるが、鉄と同じ強度を得ることは出来ず、その分だけ肉厚の構造となり、重量も増えることになる。しかし、ワイドリム(=ワイドタイヤ)仕様としても、鉄製ホイールより軽く仕上げることができるため、結果的にバネ下重量の軽減となり運動性能の向上につながることになる。

 車体の軽量化そのものは、パワー・ウェイト・レシオ(馬力あたり重量)の良化というかたちで動力性能の向上に結び付くが、バネ下重量の軽減は、加えてハンドリングやコーナリング性能の良化をもたらし、軽量化の効果がより顕著に得られる手法である。


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