記録簿は残っていれば細部までよく見るべし!
3:修復歴のある個体はささいなものでもスルー
これは個人的な好みに過ぎませんが、事故の修復歴があるタマに手出しはしてきませんでした。バンパーの角をほんの少し擦ったとか、空からヒョウが降ってきてルーフやボンネットのえくぼを板金修理した、この程度であれば「ま、いっか」と横に置く方だって少なくありませんよね。
が、筆者の場合は「修復作業」がひとつでもあったらそのタマはスルー。性格的に、買ったあとからグズグズ思い出したりするのがイヤだったのと、修復作業という「本来あるべきものでない作業」がなされていることが我慢ならないのです。
なお、修復歴というのも最近ではきちんと表記されるようになってきましたが、あまり当てにしてはいけない気がします。オークションの見極め担当者をディスるわけではありませんが、100%信頼しちゃうというのもお気楽すぎ。ささいな見落としがないとも限らず、仮にアナタが「しくじった」とて、彼らが責任をとってくれるわけではありません。くどいようですが、修復歴については1で述べた通り直感を先鋭化させる努力のほうがよほどためになるはずです。
4:整備手帳のミステリを解く
整備手帳は言うまでもなく、そのタマの来歴がわかる貴重な資料。いつ、どんな整備、調整なのか交換なのかを知ることは一編のミステリを読み解くことに等しいかと。あえてポイントをあげると、走行距離が少ない時期にたくさんの整備、パーツ交換がなされていたとしたら、いわゆる初期不良がリセットされていると考えられるでしょう。また、走行距離が伸びてきたところでの重整備ならば、オーナーの愛情や工場の目利きが予想され、いずれも好材料と受け止められるかと。さらに、整備手帳に記載されている整備者もチェックして、そのタマを手に入れたらばよほど遠方でないかぎりは主治医を任せるというのも手ではないでしょうか。
むしろ、難しいのは整備内容がわかったとしても、それが通り一遍というか平凡きわまりない内容だった場合かもしれません。車種ごとに弱点とされている箇所、たとえばタイミングベルトやECUといったパーツの交換がなく、オイルやブレーキパッドといった消耗部品くらいしか変えられていなかったりしたら、時限爆弾を抱え込んだようでほんのり不安も芽生えそう。それでも、整備者がわかっているのはましなほうで、手帳が付随してこない中古車だって山ほどありますからね。
仮に手帳がなかったり、前オーナーの入庫先が不明だった場合はイチかバチかで自分の直感に頼るしかありません。そうした場合は、そのタマを手に入れた際に頼ろうとしているディーラーや工場に「どこチェックしたらいい?」などと救いの手を求めるのが正しいかと。そんなアテもない、となったら悪いこと言いませんので、ディーラーに行って認定中古車をゲットすることオススメします。
5:ハードは常識の範囲で
ここまで直感や想像、あるいはミステリを読み解くなど抽象的な表現に終始してきましたが、一般的なハードのチェックは今どきさして重要でない気がします。たとえば、トランクのカーペット剥いたら水がたまっていたとか、シャシーを下から覗いたら錆びていたとか、さまざまなメディアでチェックポイントがあげられていますが、中古車業者だってそれくらい百も承知ということ。
つまり、ネットに出ているチェックポイントなどは、掃除したり錆びを落としたり、あるいは金テコ当てて直したり、しっかり対策しているのは当たり前! 業者は素人の我々がかなう相手ではないのです。
誤解を恐れず言ってしまえば、悪徳業者はあの手この手で「盛って」くるわけで、それを素人が見抜くのは100%無理。仮になにかトラップを見破ったとしても、そうした姑息な業者とは取引したくもないでしょう。ならば、ハードのチェックはとりあえず横に置いといて、直観力や整備手帳を読み解くことを優先するほうがよほど気分よく買い物ができるというもの。
だいたい、認定中古車でなくクセが強いタマや、ネットオークションで中古車を買おうという場合は、そのプロセスにこそ醍醐味があるもの。今回のポイントは、そんな醍醐味の楽しみ方といえば、ご納得いただけるのではないでしょうか。