歴代セルシオ&レクサスLSを振り返る
現在、レクサスLSとして販売されている同車ですが、もともと国内市場ではセルシオとして販売されていたことは御存知の通り。初代セルシオから始まったLSの歴史を振り返っていきましょう。
初代(1989〜1994年)
ボディサイズ:全長4995mm×全幅1820mm×全高1400mm、ホイールベース2815mm
パワーユニット:1UZ-FE型4リッターV8
国内ではセルシオ、アメリカ市場ではレクサスLSとなる初代は1989年10月にデビュー。
初代は新たにアメリカで展開するレクサスのフラッグシップモデルとして開発されますが国内ではクラウンの上級モデルとしてラインアップする計画でした。
※写真はトヨタ・セルシオ(初代)
初代は端正なスタイリングと全長4995mmのゆとりあるボディを採用。ライバルとしてメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズを想定して開発された初代ですが、ボディサイズだけでなく上質な佇まいもライベル車たちにひけを取らない存在感を備えていました。
また、他の高級車と比べ際立っていたのが静粛性。エンジンや車体のノイズ発生源を遮音材などで抑え込むのではなく、元から断ち切る「源流対策」を施し圧倒的な静粛性を実現したのです。
その他、走行性能なども高いレベルで身につけた初代は国内外で大ヒット。北米市場でレクサスのブランドイメージを1台(1代)で高めることに成功しました。
2代目(1994〜2000年)
ボディサイズ:全長4995mm×全幅1830mm×全高1415mm、ホイールベース2850mm
パワーユニット:1UZ-FE型4リッターV8
世界的なヒットとなった初代のあとを受け1994年に登場した2代目LS(セルシオ)。
デザインやコンセプトは初代からのキープコンセプトで違いこそわかりにくかったものの、当然中身は別物。とくに走行性は初代と比べ大きく進化したとの評判を集めました。
※写真はトヨタ・セルシオ(2代目)
室内空間、とくに後席の足元スペースを拡大するなどフォーマルなシーンで使用されるセダンの資質を高めていたことも特徴といえるでしょう。
とはいえ初代のイメージを引きずりすぎた見た目の影響なのか、販売台数は初代ほどの成功を収められずにいました。
そこで2代目は1997年にマイナーチェンジを施しHID式ヘッドランプを装着するなど、とくにフロントマスクを一新。エンジンもVVT-iが装備されたことで最高出力が280馬力へ向上するなど人気回復を図りました。
結果、初代ほどではないですが販売的にもまずまずの結果を残し、3代目へとバトンタッチしました。
3代目(2000年〜2006年)
ボディサイズ:全長4995mm×全幅1830mm×全高1470mm
パワーユニット:3UZ-FE型4.3リッターV8
2代目のあとを受け3代目が登場したのが2000年8月。このモデルが最後にセルシオとして国内販売されたLSとなります。
静粛性を追求する「源流主義」などは初代から受け継ぎつつ、欧州のライバル車たちを凌ぐ走行性能を目指し開発された3代目はLSの存在価値をさらに高めたモデルとなりました。
※写真はトヨタ・セルシオ(3代目)
レクサスというよりも国産車の価値を大きく向上させたクルマともいえます。
走行性能を高めるためパワーユニットは排気量を300ccアップした3UZ-FE型4.3リッターV8エンジンを搭載。
※写真はトヨタ・セルシオ(3代目)
エンジンとともに空力性能を見直しCd値は0.25を達成。従来、空気抵抗が増すボディの出っ張りにカバーをつけて整流していたことに対し、3代目は出っ張りそのものをなくす設計としたことなどで達成しました。
また2003年のマイナーチェンジでミリ波レーダーによるプリクラッシュ・セーフティシステムが装備されるなど、新世代の高級車に求められる安全性能も確保。
※写真はトヨタ・セルシオ(3代目)
レクサスブランドが国内でも展開されることが決定したことで、この3代目でセルシオの名称が廃止されることになり4代目からはレクサスLSとして国内販売されています。
4代目(2006〜2017年)
ボディサイズ:全長5030mm×全幅1875mm×全高1465mm
パワーユニット:1UR-FSE型4.6リッターV8他
レクサスLSとして販売されることとなった4代目。新世代のV8エンジンを搭載し、先進安全装備もプリクラッシュ・セーフティシステムだけでなくミリ波レーダとステレオカメラを用い、歩行者の検知や近赤外線投光器による夜間の検知機能向上など大きな進化を果たしました。
また海外モデルのみに用意されていたロングボディを導入したことや、ハイブリッド仕様のLS600hが初めて用意されました。
4代目の大きなトピックスは2012年に行われたビッグマイナーチェンジ。すでにフルモデルチェンジが行われてもよいタイミングでマイナーチェンジが行われたのはリーマンショックに端を発した経済危機により、新型LSの開発がストップしたことによるものです。
デビュー時とは違いスピンドルグリルデザインを採用したフロントマスクを備えるなど見た目の印象を大きく変更した4代目は、結局、11年というロングライフとなりました。
まとめ
日本が誇る最上級セダンのレクサスLSは初代から現行モデルまで、その時代に合わせた高級車像を提案してきたことがよくわかりました。
今後、カーボンニュートラルの実現が求められていくなか、LSがどのように進化していくのかが興味深いとともに、歴代モデルが発展していった過程を見ると次世代LSの方向性が国産車の進むべき方向性を示すベクトルになるのではないかと思えてなりません。