この記事をまとめると
■タイヤは高価な消耗品だ
■クルマにタイヤを装着したら慣らし運転をするようにしたい
■慣らし運転の方法や効果について解説する
タイヤの慣らしは性能を引き出すための重要な作業
クルマは買ったらずっと使える商品ではなく、消耗品の塊といった面もある。
エンジンを積んでいるクルマであれば燃料補給は必要であるし、エンジンオイルなどの油脂類も定期的な交換が必要だ。そのほかブレーキやワイパーといった部品も消耗品である。
今回、注目したいのは消耗品のなかでも高価な部類に入るタイヤだ。
ゴムによって路面を掴んでグリップするという構造から、走れば走るほどタイヤは減っていく。トレッド面と呼ばれる路面と接地する部分の溝がだんだん浅くなっていくのは、それだけタイヤ表面のゴムが削れてしまっている証拠だ。
そして、一定以上の摩耗が進むとタイヤは本来の性能を発揮できなくなり、交換時期となる。厳密にいえば、溝があったとしてもゴムが経年劣化するものなので、仮にガレージで何十年も大事に保管していたクルマであっても、安全に走ろうと思ったらタイヤを新しくしなければならない。
前置きが長くなったが、あなたはタイヤを交換したときの「慣らし運転」を意識しているだろうか。
モータースポーツを見ていると、新品タイヤにするとすぐさまグリップが上がるような印象を持つかもしれないが、市販タイヤの性能を引き出すためには慣らし運転が重要だ。
慣らし運転が必要な理由は大きく3つある。
もっとも重要で、タイヤの寿命を長くするのにもつながるのは、タイヤ表面のコンディションを整えるための慣らし運転だ。
一般にタイヤ表面には製造時に必要なワックスがついた状態になっている。慣らし運転でワックスを剥がしてやることでタイヤは本来の性能を発揮できるようになる。
ワックスを剥がすというと、クルマを左右にローリングさせて走らせると素早く剥がれるように思うかもしれないが、それはNG行為だ。右に左に激しくステアリングを操作して、タイヤをいじめるような走らせ方は、タイヤ内部に大きな負担をかけてしまう。
タイヤというのはホイールと組み合わせて、適正なエアを入れることで理想的な形状になるよう設計されている。そのため、ホイールと組み合わせた直後は内部構造が適正な位置になっていないことがある。
その状態で、タイヤが変形するような大きな力をかけると正しい形状に仕上がらないことがある。目で見てわかるほどの変形が起きるようなことは滅多にないが、少しのズレは長い時間が経つと偏摩耗といったカタチで可視化される。要はタイヤの寿命が短くなってしまうのだ。
この段階での慣らし運転には、ホイールとの密着度を高めるという狙いもある。タイヤとホイールはエアによって圧着され、少しずつ変形することで結果的に落ち着いてホイールと一体になっていく。
密着度が高まる前に激しくタイヤをこじるような走りをすると、しっかりとタイヤとホイールが一体化しない状態となってしまう。こうなるとトレッド面の接地状態も悪くなり、偏摩耗につながってしまうこともある。
いずれにしても、タイヤとホイールを組み合わせた直後は、慣らし運転をすることが欠かせない。