2列仕様車で考えればライバルは存在!
ところで、新型シエンタは、アウトドアブーム全盛の時代だけに、3列シートのコンパクトミニバン仕様だけでなく、2列シートの大容量コンパクトワゴンと呼べる仕様もまた売れているという。もちろん、フリードにも3列シートを取り払った2列シート+大容量の荷室を持つフリード+がある。それを基準にすれば、輸入車の選択肢も拡大する。
とくに新型シエンタは先代までの個性的すぎるエクステリアデザインから一転、全車、サイドプロテクトモールを配したクロスオーバーテイストあるモデルに進化。
とすると、コンパクトモデルとしてシトロエンC3エアクロスSUV、シトロエン・ベルランゴ、DS3クロスバックといった、異国の仮想ライバルが揃う。国産コンパクトミニバンは、ガソリンまたはHVのパワーユニットになるものの、そうしたフレンチコンパクトにはクリーンデイーゼルモデルもあり(EVも!)、クルマ生活を一変させてくれるほどの個性、魅力を味わうことができる。
いずれもいわゆる「なんちゃってSUV」の域を出ないFFモデルだったりするが(DS3クロスバックの最低地上高は180mmと立派)、たとえばDS3クロスバックのパリが香るエクステリアデザイン、ダイヤモンドをモチーフにしたアートのようなインテリアデザインは、決して日本車では成立しないオシャレ度があり、まさに日本車が苦手とする小さな高級車を実現しているのだ。
いまどきのフレンチコンパクトは静かで乗り心地はさすがフランス車。その上で、収納、荷物の積載に関してもかなり実用的である。もっとも、エアコンの利きは日本車が圧倒的に優位だが……。
国産車乗りとして、いきなりフランス車の世界には敷居があって飛び込みにくい……という人なら、VWのポロをベースにしたクロスオーバーモデルのT-CROSSはどうだろう。全長4125×全幅1785×全高1580mm、3気筒1リッターターボエンジン+DSGのパワーユニットで、価格は約300万円から。維持費の点でもVWは国産車と大きく変わらず、初めての輸入車としてもぴったりな1台だ。実際、2021年度輸入SUV販売台数NO.1の人気ぶりである。3気筒エンジンながら、トルキーでスムースな走りはさすがVWと言えるもので、リヤビューのカッコ良さもまたゴキゲンだ。
国産コンパクトミニバンを選択肢とするなら、予算的にはオーバーするものの、もう少し視野を広げてみるのもいいだろう。国産コンパクトミニバンでは得られない世界が、間違いなくそこにある。