クルマを擦りたくないのはわかるけど……段差スロープを自宅前の道路に自分で設置するのはアリ?

この記事をまとめると

■段差スロープは駐車場と道路の段差を解消するのに有効

■ホームセンターなどで手軽に購入することができる

■しかし法に抵触したり、事故の危険につながったりすることもあるため注意が必要

道路法違反となったケースも

 駐車場と道路の段差を解消する「段差スロープ」(段差プレート)。ホームセンターなどで手軽に購入できるので、自宅の駐車場の出口に並べて重宝している人も多いだろう。

 しかし、駐車場前の道路部分や側溝の上に「段差スロープ」を接地するのは、道路交通法に抵触する恐れもある。

 ネックになるのは次の条文。

道路法第43条【道路に関する禁止行為】

何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。

(1) みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。

(2)みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれのある行為をすること。

 つまり、道路上にみだりにモノを置いては行けないという規定があるわけだ。

 しかし、ここには「みだりに」という言葉が入っている。「みだりに」とは一般に「正当な理由なく」の意味で解釈されているので、段差を解消するという「段差スロープ」の目的が、「正当な理由」かどうかは法律的に解釈が分かれるところだろう。違法か合法化はかなりグレーなゾーンで、現実的に「段差スロープ」を警察が摘発した例は非常に稀なはず。

 ただし、以前大阪で、段差スロープにミニバイクが接触・転倒し、その後、クルマにはねられて死亡する事故があり、段差スロープを設置していた飲食店経営者が、道路法違反(道路での禁止行為)容疑で書類送検されたケースもあったので、万が一、設置した「段差スロープ」に人や自転車、バイクなどが躓いて、誰かが転んだり、怪我をした場合は責任を問われる可能性は否めない。

 理想をいえば、自治体に許可を取った上で道路との段差を低くする「切り下げ工事」を行なうのがベスト。とはいえ「切り下げ工事」は非常にコストがかかるので、「段差スロープ」を置くかどうかは、地域性や交通量、そしてコストとリスクなどをよく考えて、自己責任で行なうしかない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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