乗務員の離職による深刻な人員不足という問題を抱える
年齢に関係なく、一種免許とは異なる二種免許の運転の仕方を理解せずに、家族を養うためなどと、ガツガツ稼ごうとする乗務員は高齢ではなくとも、事故だけでなく乗客からのクレームが目立つようである。
二種免許は国が認めたプロドライバーライセンスだが、一種免許と何が異なるのかという疑問を持つ人も多いだろう。一種免許に加え、より視野の広い範囲での危険予測が要求され、後席にお客を乗せて運転するということを意識して運転するなど、操作方法というよりは運転にあたっての心構えというところで、ある意味「悟り」を開く必要がある(この悟りがなかなか開けない、あるいは悟りを開こうとしない乗務員も事故が目立つと聞く)。
運転免許だけあればできる仕事といつまでも思っていて、仕事として軽んじているうちは、事故発生リスクはなかなか下がらないともいわれている。
過去には、交通事故というハイリスクもあるが、その分リターン(稼ぎ)もいまより格段に良かったので、稼ぐために若いうちから乗務員になる人が多かった。しかし近年は、正社員雇用で社会保険も充実するということで、リストラにあったり経営していた会社や店が潰れてしまったりした年配の人が再就職しやすい乗務員へ流れてくるので、乗務員の年齢層が高齢化していったとされている。事業や店を経営している人が社会保険目当てで副業として乗務員になるといったケースもあるようだ。そのような人はガツガツと稼ぎたいということはないので、事故も少ないようである。
しかし、日本がバブル崩壊以降景気低迷傾向が続いていることもあり、タクシー利用者の減少が続いている。そのため、昔ほど一般的には稼げる仕事でもないのに(それでも腕次第ではという面は残っている)、交通事故というリスクがつきまとうことになり、家族の反対などもここのところ目立ってきて、現役子育て世代などの若年層がなかなか乗務員募集に応募してこないようになった。
つまり、歩合給の比率を上げたり、採用お祝い金など金銭面で魅力ある採用条件を設けてもなかなか集まらなくなっている。また、人ではなく荷物を運ぶ通販の宅配ドライバーのほうが気楽で稼ぎも良いと、若い人がそちらを選ぶケースが目立っているようだ(稼ぎは? な部分もあるようだが)。
新型コロナウイルス感染拡大により、タクシー業界も深刻な打撃を受け、高齢ドライバーを中心に離職が目立つなか、若い世代の新規雇用がままならないので、「いっそのこと人型ロボットにいまのタクシーを運転させたらどうだ」という話も出ているようだが、これは冗談ではなく日本でも、「自動運転システム搭載車を新規導入するよりいいかも」といった話もあり、実際にタクシーの需要だけでなく、人型ロボットの開発は日本国内でも進んでいるようだ。
ロボットが運転すれば法令違反はまず起こさないだろうし、眠くもならないので事故発生リスクも現状より抑える(もらい事故は残る)ことができるだろう。ちなみに海外では2022年10月にテスラ社がすでに人型ロボットを発表している。