トヨタのロシア市場撤退が日本の中古車市場に影響
ロシアの自動車市場について簡単に振り返ると、2000年代中盤に、いわゆるBRICsと呼ばれる新興国で自動車を含めたさまざまな産業の規模が急激に拡大していった。BRICsとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、そして南アフリカ等を指す。
そうしたなか、トヨタ、日産、およびマツダは、ロシア市場に対応して現地生産化を始めたが、ウクライナ侵攻によって事業計画の大幅な見直しを決断したということだ。
また、中古車市場についても、日本からロシア向けの輸出台数が多いことをテレビやネットニュースを通じて知っている人も少なくないだろう。2000年代中頃以降、ロシアの経済発展によって、ロシア国内生産される日本車の販売台数が増えると同時に、日本からの中古車輸出量も増えていった。
そもそもロシアの道路交通法は、右側通行・左ハンドル対応なのだが、右ハンドル車でも走行しているのが実状だ。一時、ロシア当局が右ハンドル車に対する規制強化を打ち出したと記憶しているのだが……。
そうしたなかで、トヨタなど日系メーカー各社が現地製造から撤退することになった。既存車に対する修理や補償については、メーカー各社が現地ディーラー関連企業と連携して引き続き行うのは当然のことだ。だが、ロシアのユーザーにとって、とくに価格の高いランクル300などについて、サービス対応などで将来への不安を感じる人がいてもおかしくはない。ロシア経済の行方が現時点で不透明なのだから、それは致し方ないと思う。
そうしたロシアの実態経済と消費者心理が、日本でのランクル300中古価格に影響していることは否定できないのではないだろうか。