やっぱりクルマはデザイン命! まだ免許をもたない高校生のころに心を奪われた5台【いつか乗ってやる! 子どものころに憧れたクルマ〜すぎもとたかよし編〜】 (2/2ページ)

時代背景を落とし込んだデザインで今でも光る名車たち

●省エネ・省資源を逆手に取ったトールボディ

 3台目はホンダの初代「シティ」です。「低く、長く、幅広い」は虚像と言い切った若手デザイナーたちによるスタイルは、限られたサイズのなかで最大の容積を求めれば球体になるという、とんでもない発想から至ったトールボディです。

 超シンプルなボディは、前進感を生む低いノーズと、ボディを上下に分けて安定感を生み出すキャラクターラインで構成。また、当時叫ばれていた省エネ・省資源の視点を取り入れ、グリルやバンパー、リヤルーバーなど多くの部分を素材色で統一させました。

 高校生にとってはよりスポーティなターボバージョンに目が向かいがちでしたが、いま落ち着いてみれば、標準モデルのシンプルさこそがシティの本質なのだと気が付きます。

●三菱車のイメージを大きく向上させたベストセラー

 次は三菱の4代目「ギャランΣ」です。同社を代表するミドルクラス車で、「Λ」の名を持つ2ドアクーペも有名ですが、高校生の自分が目を見張ったのは、あくまで4ドアセダンのほうでした。

 ヨーロッパ調のデザインを採り入れて好評を得た先代のイメージを残しながら、ボディ面はより滑らかとなり、スラントしたノーズと緩やかに下がるリヤをつなぐ絶妙なベルトラインとの組み合わせは、じつに美しいプロポーション構築。また、コーナーランプと一体になった大型のヘッドライトと、シンプルなグリルの組み合わせもじつにエレガントでした。

 イタリア人デザイナーのアルド・セッサーノが関与した同時期の「ランサーEX」と並び、三菱の黄金期を作った名車として強く印象が残っている1台です。

●近未来を提示したイタリアンクーペ

 最後はいすゞの初代「ピアッツァ」です。1980年前後のグッドデザインとしてはもはや定番ですが、当時の衝撃は忘れることができません。高校生当時から実用車のデザインに興味があった自分としては、流麗な2ドアクーペはちょっと外れた存在だったのですが、そんなことを一切忘れさせるほどのインパクトがありました。

「117クーペ」の後継とされながら、もはや20年、30年後のデザインを見越したようなフレッシュサーフェス化は驚異的で、しかも、たった1本のキャラクターラインでボディを引き締める力量は、高校生の自分にもジウジアーロという名前を印象付けたほどです。

 大きな単位の面構成によるカタマリ感も素晴らしく、これで4ドアがあったらなんて妄想を抱いたのを思い出します。

 さて、今回はあくまで個人的な思い出による5選でしたが、いかがでしたでしょうか? 5台とも、もう40年以上前の登場ですが、面白いのは、いままさに旧車ブームとしてこれらのクルマが再評価され、運がよければ入手できるというのが何とも不思議な感じです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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