国内最高峰のスーパーフォーミュラは「F1」とどう違う? 両方を経験したドライバーの直撃した! (2/2ページ)

軽さとコスパの良さがスーパーフォーミュラの強み

「F1とスーパーフォーミュラはまったく違いますよ。タイヤのグリップに関しては似たような感じですけど、エンジンパワーがまったく違う」と語るのは、2009年〜2014年にF1への参戦経験を持つ小林可夢偉選手だ。その言葉どおり、1600ccのターボエンジンにハイブリッドのモーターを組み合わせることにより、推定で1000馬力を誇るF1に対して2000ccのターボエンジンを搭載するスーパーフォーミュラの最高出力は550馬力程度に過ぎない。

 さらに小林選手は「レース距離も長いのでフィジカル的にもF1のほうがきついし、パワーがある分、コントロールも難しい」としたうえで、「F1は開発コストが桁違いなので、コストパフォーマンスについてはスーパーフォーミュラのほうが抜群に優れていると思います」とのこと。たしかにスーパーフォーミュラはエンジンこそ、トヨタとホンダの2メイクスで開発競争が展開されているが、シャーシに関してはダラーラ製「SF19」のワンメイクとなっているだけに、コストパフォーマンスに優れたフォーミュラだと言えるだろう。

 一方、2019年の日本グランプリで、フリー走行の経験を持つ山本尚貴選手も「F1とスーパーフォーミュラはまったく違います。共通点はタイヤが4本着いていることとオープンホイールであることぐらいで、パワーとマシンの機構も違うからフィーリングがまったく違います」と語る。

 そのうえで「エンジンは半分ぐらいの馬力しかないのに、ラップタイムの違いは10秒以下なので、そこがスーパーフォーミュラの速さに繋がっていると思います」とのこと。さらに、鈴鹿ラウンドで国内トップフォーミュラ参戦100戦目を迎えた山本選手によれば「スーパーフォーミュラの利点は軽いところにあると思います。F1は速いけれどハイブリッドシステムの搭載で重くなっているのでフォーミュラカーとしての機敏な動きが減ってきているのかなぁ……という気がします。スーパーフォーミュラはクイック・アンド・ライドと呼ばれるように軽さにこだわったマシンなので、その部分は次世代のモデルにも引き継いで欲しいですね」と語る。

 事実、ドライバーを含む最低重量が790kgのF1マシンに対して、スーパーフォーミュラは670kgと200kg以上も軽くなっていることがスーパーフォーミュラの特徴となっており、俊敏なフットワークも同マシンの特徴と言えるだろう。

 このように絶対的なスピードではF1に及ばないものの、コストパフォーマンスと軽さを生かしたコーナリングがスーパーフォーミュラの特徴で、F1やインディとはまた違う第三極のマシンとして、オリジナリティの高いマシンに仕上がっているのである。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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