海外からの輸入ばかりに頼っている日本の危険性が露見
同じことは、食料についてもいえ、日本の食料自給率はカロリー計算でも40%を切り、輸入に頼っている。食料だけでなく、家畜の飼料や農産物の肥料も同様だ。その危険な綱渡りの状態が明らかになったのは、ウクライナ戦争の勃発による。
また、知見を持つ人材の流出も起きた。韓国や中国の電気自動車が優れた商品性を備えるのも、日本人はもちろん、外国からの人材を登用した成果だ。人生100年といわれる時代にありながら、60歳代で定年となった人が、韓国や中国などで経歴を活かす話は10年以上前から耳にしている。
半導体に限らず、あらゆる面において日本は安いものを海外から手に入れればいいという、安さだけを指標とした事業展開や消費が根付いてしまった。理由は、経済の停滞だ。
いま30~40歳代の人は、景気がよかった時代の印象が薄いのではないか。そうなると、適正な価格であれば永く使えるものを大事に持つ発想ではなく、安くて便利な物を利用する暮らしが当たり前になる。ちょっとした贅沢として国産食材の料理を味わうということがあっても、それが毎日のことではなくなっていく。
輸入に依存した暮らしが、日本人の本物や本質を見抜く眼力を失わせている。それが、半導体のみならずあらゆる製品の不都合な背景になっているのではないか。