この記事をまとめると
■ブレーキにはディスク式とドラム式があり、現在は多くのクルマでディスク式が採用されている
■ディスク式の構造にはソリッドタイプとベンチレーテッドタイプがあり、後者は放熱性に優れる
■ディスクの処理にも種類があり、プレーン、ドリルド、スリットなどが存在する
ディスクブレーキとはローターを挟んで制動力を生み出す機構
自動車が使うブレーキシステムには、大きくディスク式とドラム式の2種類がある。いまどきの乗用車は、ディスク式を使っていることが多い。小型車ではリヤがドラムになっていることもあるが、フロントのブレーキシステムはおおむねディスク式だ。
あらためてディスクブレーキの仕組みを整理すると、円盤状のブレーキディスク(ローターともいう)を摩擦材によって製造されたブレーキパッドで挟み込むことで制動力を生み出すというものだ。
制動力とはすなわち減速させること。いわゆる機械式ブレーキというのは運動エネルギーを摩擦によって熱エネルギーに変えている。単純化すれば、運動エネルギーが熱となって失われるため速度が落ちていくという風に捉えることができる。
ブレーキシステムというのは熱発生装置ともいえる。ディスク式の場合、ディスクとパッドの接している表面温度は数百度まで上昇することもあるほどだ。つまり、ブレーキディスクは、熱に耐え、放熱する能力に優れている必要がある。そのため、量産車ではスチールが使われることが多い。そして、スチールの特性から、重量があるほど熱容量が多いといえ、タフなブレーキ性能につながる傾向がある。
ブレーキディスクを大径化することのメリットを車軸からの距離によるテコの原理で説明する向きもあるが、基本的には熱容量を増やすために大きくなっているといえる。
さて、そんなブレーキディスクの構造は大きく2種類にわけることができる。ひとつはソリッドタイプ、もうひとつがベンチレーテッドタイプだ。
ソリッドというのは、その名の通り単なる鉄板で作られたもの。ベンチレーテッドというのは2枚の鉄板を組み合わせて、すき間に通気口を設けたものだ。
同じサイズで考えると、ソリッドのほうには熱容量が大きいというメリットがあり、ベンチレーテッドには放熱性に優れるというメリットがある。
熱容量が大きいほどタフなブレーキになると前述したが、ソリッドでは熱が溜まっていきやすい傾向にあるため、結果として受け止められる熱量は減っていく。一方、ベンチレーテッドは放熱することで受け止めることのできる熱量をキープできるため、トータルでのタフさであればベンチレーテッドが有利というのが定説だ。