この記事をまとめると
■危険な運転をする自転車が後を絶たない
■対策として赤キップの交付が行われるようになった
■2022年に実施された10月31日公開取り締まりのようすについても解説
自転車への赤キップの交付には課題も
クルマを運転する側からすると、歩道も含めた道路上を縦横無尽に走りまわっているように見える自転車。傍若無人な場合も多く、憤りを感じることも多いし、場合によってはヒヤリとさせられることもある。そもそも自転車は道路交通法上は軽車両という扱いなので、気軽な乗り物として好き勝手に走っていいわけではない。
自転車の事故は増えていて、交通事故全体に占める自転車事故の割合も平成28年から増加の一途。しかも自転車での死亡や重傷事故の相手は約76%が自動車となっている。さらにそのうち、出会い頭での事故が約55%で、路地から突然左右確認もしないで飛び出してくる自転車をよく見かけるだけに、さもありなんといったところか。
自転車からしてみると、走る場所が狭い路肩だったりと、環境が整っていないのにルールを守れという理不尽な部分があるのは確かだが、それはそれ。ドライバーを中心に取り締まりの声は高まっていて、路肩に自転車レーンが描かれたり、2020年6月のあおり運転厳罰化時には自転車によるあおりも含まれると強調されていたほど。そのほか、悪質な運転者を対象とした安全講習の義務化なども行われている。
それでも先に見たように事故数は減らないわけで、次の一手として2022年10月31日から行われるようになったのが、悪質な自転車に対する、いわゆる赤キップの交付。自動車に乗っている方ならご存じだろうが、反則金などだけで済む青キップに対して、赤キップは簡易裁判所での裁判となり、罰金刑が下される。もちろん無罪になる可能性はなくはないが、ほぼゼロだし、厳密に言えば懲役刑が下される可能性もある。飲酒運転も当然ダメで、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」となる。
ということで自転車に乗っている方、とくに逆走、信号無視を日常的に行っている方は注意してほしい。具体的に今回赤キップを切るとしているのは「逆走」「歩道を徐行せず走行」「信号無視」「一時不停止」の4つ。クルマからするとこれだけでは足りなくて、スマホ操作やイヤホン装着、矢印信号での一気右折、さらには赤ちゃんを抱っこしながらの運転など、重点項目に加えてほしい行為はたくさんある。
とくに抱っこは赤ちゃんをプロテクター代わりにしているようなもので、年間数件死亡事故が起きているだけに、とくに取り締まってほしい行為だったりする。また教育上というなら、子供を乗せている自転車も重点的に取り締まりすべきだろう。
開始となる10月31日には公開取り締まりが行われたが、結局のところ、見せしめも兼ねたビシバシといった感じではなく、止めて注意するのみで、今まで同様に「自転車指導警告カード」を渡しておしまいだったのは残念なところ。結局は取り締まる側のやる気にかかっているとも思える。
ただ、現場の警官に聞くと「悪質な自転車は止まらずにそのまま逃げることが多いし、素早いので追いかけられない」という根本的な問題もあって、確かにそうだろうと納得するばかり。免許制、ナンバー制という意見もあるが、あまりにひどいと実際にそういった日が来るかもしれない。