この記事をまとめると
■日本のタクシードライバーの現状を解説
■高齢化や人材不足が問題となっている
■日本ではマナーの悪い乗客も少なくない
タクシーの車内では乗客の素顔が出る
一般ドライバーのみならず公共輸送機関でも、とくにタクシードライバーの高齢化が顕著となっている。新型コロナウイルスの感染拡大により、タクシーの稼働台数が大幅に減ることとなり、高齢タクシードライバーの引退を促したとされているが、それでもドライバーの年齢は高い。警察庁交通局運転免許課による、令和3年版運転免許統計によると、第二種免許保有者163万4092人のなかでもっとも多い年齢層は、70から74歳で29万6376人となっている。65歳以上でみると、83万9641人となるので、第二種免許保有者の50%強が65歳以上となっている。これは二種免許全体の保有者の話なので、タクシーだけでなく、バスも含む旅客輸送業界全体、さらに貨物輸送業界もドライバーの高齢化に頭を抱えているのが現状といえるだろう。ただし、保有者全員が旅客や貨物輸送業界に従事しているわけではない。
タクシー業界は、いままでは景気が悪くなると乗務員の応募が増えるとされてきた。現状の日本を好景気と表現するのは難しいが、それでも世の中で広く人材不足が叫ばれているので、このようにタクシー以外にも働き口が多い時にはなかなか乗務員は集まらない。
タクシードライバーは正社員採用が原則のため社会保険が完備されており、不況などで職を失った働き盛りや年齢の高い人が家族を養うために応募することが多く、必然的にドライバーの年齢層が高まっていくのである。そうはいっても、最近の傾向では労働環境が悪いと家族に反対されるケースも目立っており、景気に関係なく、なかなか思うように新規で乗務員を確保するのが難しくなっている。
また、ある程度人生を経験してこないとなかなかできない仕事でもあるのは確か。タクシーの車内というのは、人間(お客)の素顔が出てくるところともいわれている。タクシー車内で乗客がドライバーに暴行を加えるという事件が起きるが、暴行を加える人の中には大企業の幹部社員など、一般的に社会的地位が高いとされる人も目立つ。「酔っていたので覚えていない」が警察での言い訳の常套句だが、酔っぱらっているからこそ、日ごろタクシードライバーを見下しているという本音が出て、乗務員に対して手が出やすくなると筆者は考えている。