この記事をまとめると
■クルマはさまざまな消耗品の塊だ
■じつはATやCVTも例外ではない
■必要なメンテナンスについて解説する
何もしなくていいワケじゃない!
クルマは消耗品の塊だ。小さなところではエアクリーナーやワイパーブレードだったり、オイルなどの油脂類も同様。大きなところではボディにも応力、つまり少しずつではあるが力が溜まって消耗していく。その消耗の度合いは部品や箇所によって異なるが、今回は一見すると消耗しないように思えるATやCVTについて考えてみよう。
MTの場合、スムースな変速を行うためのシンクロというパーツが徐々に摩耗することで、入りが悪くなったり、異音がするようになるというのはイメージしやすい。一方、ATやCVTはどうか? 滑らかに全自動で動くため消耗しないように思えるが、実際は消耗する。
まずATから見ていくと、よく言われるのが内部に入っているATF自体が消耗品で、以前は無交換だったが、最近では5万kmから10万kmあたりでの交換が推奨されていることが多い。また、内部のギヤが摩耗して変速しなくなるということはほぼないが、クラッチは摩耗していくし、バルブは詰まりが発生することもある。結局、自動車そのものの寿命に対して、ATの消耗限界が長いので実害を受けないだけで、実際は消耗していく。
CVTも似たようなものだが、ギヤはなくて、ふたつのプーリーとそれを結ぶ金属ベルトで変速をするのでATに比べるととてもシンプル。このプーリーとベルトは厳密に言うと摩耗はしていくが、問題になるような消耗は基本的にはしない。CVTの場合はCVTフルードの消耗が一番大きいかもしれない。
ATとCVTの両者に共通する消耗ポイントは、内部に入っているストレーナーだろう。いわゆるフィルターで、ATとCVTともに金属粉が出るのでそれらを取り除くために付いている。先に紹介したようにフルード交換はしたほうが消耗をリフレッシュするという点では効果的だが、オイルパンを開けて内部に入っているストレーナーも同時に交換したほうがよく、外して内部を見るとスラッジが溜まっているので、新品に交換する必要がある。
ATそしてCVTともに、メンテナンスフリーと呼ばれることもあるが、劣化は確実に進むし、オイルや消耗部品を交換することでトランスミッションの本体自体がより長く使えるのは事実。また、エンジンのようにオイルシールも使われていて、劣化すればフルード漏れが発生することから、ここも消耗品だ。オーバーホール業者が存在するのも、消耗品であることの証だろう。いずれにしても、乗りっぱなしではダメということになる。