東南アジアではコピー品が出まわるほどの人気アイテム
車庫証明を申請して受理されると、書類とともにステッカー(標章)が警察から交付される。リヤガラスに貼られているが、これは車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)にて、“自動車の後面ガラスに保管場所標章に表示された事項が後方から見やすいように貼り付けること”となっているため。
しかし、「かっこ悪い」などとして貼らない人も少なくない。「『納車時に貼らないで欲しい』とお願いしてくるお客様もいらっしゃいます。納車時には貼らずに車検証入れなどに標章を入れ、貼るのか貼らないのかの判断をお客様に委ねるケースもあると聞きます」とは現場のセールススタッフ。
日本ではかっこ悪いと思われることも多い車庫証明の標章だが、筆者はタイの首都バンコクの自動車用品を扱う店が集まる地域で、本物の標章をベースとしたレプリカ標章が売られているのを見かけたことがある。日本でも時々、カリフォルニア州など、アメリカのライセンスプレートをファッションアイテムとして車両に載せたり自宅や店内に飾る人がいるが、それと似ているのかもしれない。
カリフォルニア州ではZEVなど環境負荷の低いクルマをフリーウェイの一部に設定されている優先レーンの通行(一般的なガソリン車では複数名乗車しているのが条件)を、単独乗車でも可能とのことを証明する、“ACCESS OK”というステッカーが交付されている。
日本のプリウスユーザーなどで欲しがる人も目立つが、本物はバンパーに貼り付けるため、仮に損傷してバンパーを交換したら既存のステッカーを貼りかえる必要があるほど管理が厳密なので(シリアルナンバーが入っている)、その代わりのレプリカ商品が日本でも通販などで販売されている。
前述したバンコクで見た車庫証明標章のレプリカは、日本への憧れを強く持つ人や、日本車の販売比率が圧倒的に高いので、自分の乗っている日本車を日本で走っている同型のように限りなく日本仕様に忠実なものとして乗りたいといった人の人気アイテムとなっているようである。
ところ変わればではないが、日本でかっこ悪いと思われているものも、新興国を中心に「クールなもの」と思われているのである。