サスストロークは長いが結構スポーティな動き!
このボディが生み出すキャビンには派手さはないが、これもジープというブランドが逆に特長とするところ。フラッグシップモデルであるとはいえ、それを購入するカスタマーは、そのインテリアにジープ伝統のタフネスさやシンプルさ、そしてオフロード走行に象徴されるスポーティな感覚を求めているのだ。実際にシートやインテリアのトリムを見ても、そこには確かな上質感と機能性がある。
センターコンソールやダッシュボードなどのデザインはその典型的な例で、センターコンソールには10.1インチサイズの薄型タッチスクリーンがレイアウトされ、ロータリー式のシフトダイヤルも使い勝手に優れる。新世代の車載通信モジュール、「テレマティックボックスモジュール」を全車に標準装備としたのも大きな話題だろう。
ドライブを始めて最初に印象に残ったのは、その静粛性だった。フロントではたしかに2リッターの直列4気筒エンジンが駆動しているのだが、そのバイブレーションやノイズの処理がじつに巧みなのだ。PHEVモデルではさらに最大で53kmものEV走行が可能になるというから驚きだ。
今回は短い時間の試乗だったが、そのリニアなステアリングの動きと、マルチリンク式サスペンションのコンビネーションによるコーナリングは、なかなか楽しいものだった。
一見すると都会派のSUVとも見えるグランドチェロキーでも、ジープはオフロード性能を変わらず重視しており、そのためにサスペンションのストロークはやや長く、初期のロール速度も高いのだが、それに慣れてしまうと、意外にスポーティなコーナリングを楽しむことができる。こういう場面では走行モードで「スポーツ」を選択するのがベスト。アクセルレスポンスはさらに鋭くなり、一瞬自分が車重で2000kgを超える大柄なSUVをドライブしていることを忘れさせてくれるから不思議だ。
そのデザインや走り、そしてSUVとしての機能性を考えると、今回試乗したジープ・グランドチェロキー・リミテッド 2リッターの892万円という価格から考えるコストパフォーマンスは、まずは納得できるレベルといえるのではないか。
できるのならば同時に導入されるPHEVモデルにも1000万円以下の価格を期待したかったところなのだが。