日本の自動車メーカーのラインアップはFRマシンで溢れていた
日産
日産のFR車は名車が多く、R32、R33、R34スカイラインのFRモデル、GTS-tタイプMやGTS-25t、25GTのクーペはどれもなかなかレベルの高いコーナリングマシンだった。
S15シルビアやZ33、Z34などもポテンシャルが高いが、ノーマルではちょっと物足りない……。とくにシルビアはチューニングでの伸び代が大きく、日産車はチューニングとセットでコーナリングマシンという位置づけのクルマが多い。また日産のFRスポーツは、パワーもある一方で車重もそこそこあるので、ドラテク鍛錬車としても向いている。
マツダ
もしかすると、マツダが一番コーナリング性能にこだわっているメーカーかもしれない。
まず歴代ロードスター。ロードスターはコンパクトFRのセオリーどおりに作られたクルマで、操縦性は極めて素直。ドライビングの良し悪しがそのままクルマの動きに現れ、よく曲がるが限界域は穏やか。ビギナーから上級者までストレスなく乗れるのが最大の長所。
RX-7もFDなどは「世界中のどんなサーキットでもインからライバルを刺せるハンドリングを目指した」とされ、ピーキーと言われても「曲がる」ことには妥協しなかった。
その点、FDの後継車ともいえるRX-8は、FDにはなかった直進安定性と、コーナリングパワーとコーナリングフォースを両立。希代のコーナリングマシンに仕上がっていたので、これは高く評価しておきたい。
その他、三菱のランエボ、とくにエボⅨもMRなどは、スーパーAYC、ACD、スポーツABSなどのハイテクを満載。電子制御のロジックを理解し、それを上手く手なずけられると、他車とは違う異次元のコーナリング性能を発揮した(ただし、好き嫌いは分かれるところ)。
いずれにせよ、すべてのクルマ、とくにスポーツカーは“シャシーはエンジンより速く”というのが、面白いクルマの鉄則。もちろん何をやっても破綻しそうもない、安定感だらけのクルマではワクワク、ドキドキできないが、操作に忠実で、レスポンスがよく、インフォメーションが豊かで、限界域が広い……。そんなコーナリングマシンなら、10年経っても20年経っても30年経っても色褪せないので、そうしたクルマがどんどん出てきてほしいものだ。