誰にでも起こり得ることだからこそ設定しておきたい機能
試乗コースで何度も”わざと”踏み間違える動作を行ったが、確実に加速を抑制してくれた。小柄な軽自動車だが、じつに頼もしい! 「ここで加速したら怖いなぁ」と思うようなタイミングでペダルを踏んでも結果は同じ。かなりの安心感を得ることができた。とても軽自動車についている機能とは思えなかった。ワンランクどころか数ランク以上は上にあるであろうミドルクラスの国産車もしくは輸入車についているような機能だ。
一方で、これら機能が機能しないシーンがある。それは「ウインカー作動時」と、「坂道での発進時」だ。前者は、右折する際など、スムースな進行が必要な際はウインカーが作動していることを条件に機能がキャンセルされる。また、坂道で停車したあとに発進する際は、ブレーキを踏んだあとに素早くアクセルを踏み込むことがある。その際もコンピューターがこの機能をキャンセルする。なので使い勝手は決して損なわれていない。
この機能、将来的にはホンダ車全車に標準装備したいとのことで、現在さまざまな調整を行なっている段階だという。なお、MT車には現状装着不可というが、MT車ユーザーで踏み間違いというのはその性質上極めて低いということが、現在検討されていない理由だ。この機能のメリットとして、メカ的要素は一切ないのと、設定の可否をユーザー側で判断できるので車両価格などに影響が出ない点もポイントだ。
ちなみに、設定されている「前進30km/hまで」「後進12km/h」までというのは、メーカー側が「動きながらも被害が最小限に収まる速度」というデータのもと、設定したという。
この踏み間違い防止機能だが、関係者曰くじつは高齢ドライバー向けの機能でもないという。ニュースでは高齢者ドライバーの踏み間違い事故が目立つが、若者も意外と同じようなことをやって事故を起こしているというデータがあるのだ。現に、筆者の友人(20代)でも、幸い事故にはならなかったが、踏み間違えてヒヤッとした経験をもつ。踏み間違いは意外と身近な問題なのだ。
ホンダは今回の発表を通して、「2050年までにホンダの二輪および四輪が関与する交通死亡事故ゼロを目指す」と宣言している。
今回追加された「急アクセル抑制機能」は、その目標へ向けた更なる一歩になるだろう。