この記事をまとめると
■ハイパーチャージャーと呼ばれる超高性能急速充電器の整備をする動きが一部メーカーにある
■急速充電器が設置されていても車両側に対応した機能がないとその急速充電器は使用できない
■自社銘柄のEVしか充電できないとする姿勢は排他的で本当の意味での環境への適合にはそぐわない
ハイパーチャージャーの設置を進めるポルシェとアウディ
超高性能な急速充電器(ハイパーチャージャー)を整備しようとの動きがある。発端は、高性能電気自動車(EV)のタイカンを販売するポルシェが自主展開することをはじめ、これにアウディが加わり、両社のEVを利用する顧客向けに提供しようという。
米国のテスラは、モデルS導入の時点から急速充電器であるスーパーチャージャーを独自に自己負担で世界に整備している。そこに追従するかたちだ。
それらとは別に、パワーXという企業が、自動車銘柄と関係なく超急速充電器を国内に網羅しようと新たにしはじめた。2030年までに国内約7000か所に設置させるとの計画だ。これに使う電力は、100%再生可能エネルギーによるという。利用に際しては、スマートフォンのアプリケーションを通じ、簡便に利用・精算できる展開にする。7000か所といえば、国内のCHAdeMOの急速充電器が約7900か所なので、それに匹敵する件数になる。
EVの普及に充電がカギを握るのは事実だ。それら超急速充電器の普及は、EVの未来を開くように感じられそうだ。しかし、本当にそうだろうか?
そもそも、急速充電器という発想は、既存のガソリンスタンドの代替から来ている。一方、EVへの充電の基本は、自宅での普通充電(200V)にある。これを繰り返すことで、日常的な利用を満たし、なおかつリチウムイオンバッテリーの劣化を抑えることにもつながる。それは資源の有効活用でもある。
環境問題の解決とは、単に脱二酸化炭素を満たすだけでなく、適切な性能を得られる機器を永く使い、なおかつ残されたリチウムイオンバッテリーの容量を最後まで使い尽くすことにある。