元ネタの再現こそに人気の秘密がある?
で、人気の理由ですが、恐らく「なんちゃって仕様」への徹底した姿勢だと筆者は想像しています。
SUVなスーパーハイトワゴンであれば、スズキの「スペーシア ギア」や、つい最近発売されたダイハツの「タント ファンクロス」がありますが、これらが標準車の新規派生モデルであるのに対し、デリカミニの場合は、過去に人気の「元ネタ」があることが決定的に違うのです。
たとえば、先述のとおり、フロントの黒いプロテクターはeKクロス スペースに施された「ダイナミックシールド」とはかなり違った表現なのですが、そんなことより、雰囲気として強力なガード感が、デリカなど歴代三菱車のイメージにつながることが重要なのです。
また、テールゲートガーニッシュに施された「DELICA」の立体的なロゴも同様です。よく見れば、ベースのeKクロス スペースにもここにメッキガーニッシュがあるし、さらに言えばリヤランプの形状などはまったく同じなのですが、ここに立体的なロゴがあること自体が重要なのです。
単なるスーパーハイトワゴンの化粧直しであることはわかっていても、「ここがデリカっぽい」「まさにかつての三菱車だ」「懐かしい」という感情がライバルとは異なる話題を呼び、半円形ランプへの「これってディフェンダーじゃん」という突っ込みが、その話題をさらに大きくしているのではないでしょうか。この「なんちゃって感」がたまらないと。
もちろん、それはかなり子供っぽい発想ではあるのですが、じつは先の商品企画責任者は、自らこのクルマを「愛くるしく、軽ならではのやんちゃ坊主のイメージ」と語っており、もう完全に確信犯的な企画なのです。実際、すでに多くのクルマ好きはそこにハマっているわけですから……。