四駆なら全部ジープ! ミニなら全部ミニ!
「ジープ」
古い世代の方々は4輪駆動車をひとまとめに「ジープ」と呼びがちではありませんか。そもそもジープはアメリカの軍用車でウィリス社や、三菱、あるいはクライスラー(現在はステランティス)といったメーカー製。ですが、丸目ヘッドライト2灯のフロントマスク、ブリキ細工のようなフェンダー、大きめのタイヤ&ホイールといったキャラなら、間違いなく「ジープ」と呼ばれるはず。
おそらく、昔は四駆といえばたいていはジープに似たデザインや佇まいだったことから刷り込まれた記憶ではないでしょうか。現に、筆者の祖父は歴代ランドクルーザー(50/60/70系)を愛用していましたが、総じて呼びかたは「ジープ」でしたからね(笑)。それどころか、バアチャンはじめ家族のだれもが「ジープ」呼ばわり。ちなみに、ランクルの初代というかご先祖様は「トヨタ・ジープ」という車名だったので、祖父の代ならあながち見当違いでもなさそうですけどね。
いずれにしろ、ちょっと古い世代にとって「ジープ」はこの上なく便利な通称なのかもしれません。
「ミニ」
相当なクルマ好きでも、ミニを一目見て正確にメーカーを言い当てられる方はそう多くないのでは。まして、一般的にみればニューミニさえBMW製だと認識している方は少ないでしょう。そして、ミニあるあるといえば「すべてのミニを〈ミニ・クーパー〉と呼ぶ」ことではないかと。クルマ好きから言えばAMGを「アーマーゲー」と呼ぶくらい初歩的なカン違い、ミスなのですが、「ミニ・クーパー」は広く深く根付いているようです。ニューミニが最初のローンチから「クーパー」をラインアップしていたことも後押ししていることは確かでしょう。
正確に表現すれば、ミニは最初オースティンとモーリスというブランドから発売され、それぞれ「オースティン7(セブン)」と「モーリス(ミニ)マイナー」となるのですが、両ブランドを抱えていたのはBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)であるため、BMCミニという呼び方もあるのです。さらに、このBMCはのちにBLMC、すなわちブリティッシュ・レイランド・モーターカンパニーとなるので、BLミニという呼び方にこだわる方もいらっしゃいます。もちろん、その後のローバーグループ生産時はローバーミニと呼ばれたわけで、年代ごとにメーカー名が目まぐるしいほどに変わっているのです。
「別にミニはミニでよくね?」いや、まったくそのとおり。オールドミニもニューミニも、今ではメーカーの垣根を超え、クルマというより「ミニ」という存在、価値となっていることは誰もが認めざるを得ないはず。
最後はちょっとレアなケースでしたが、このほかにも「ワゴンR」や「タント」など売れすぎなのか、ロングライフが理由なのか、メーカー名そっちのけでひとり歩きしている車名も少なくありません。せめて、クルマ好きの皆さまはメーカー名くらいはパッと出てくるようにしてあげてはいかがでしょう。
なぬ? その2台もすでにミニと同じくクルマを超越した存在ですと? なるほど、固有名詞というのはこうして出来上がるのかもしれませんね。