バッテリー交換式が普及すれば可能性はある
では、実際に大型車のEV化はどんな状況にあるのだろうか。世界の現状に目を向けてみた。
やはり、大型車は電力の消費が大きいため、バッテリーをどうするかが大きな問題となっている。これの1つの解決作として「電池交換式」の方式が試されている。中国で行われている方法だが、車両と着脱式バッテリーを別販売とし、使用して容量が低下したバッテリーをフル充電のものと換装することで充電の問題に対処する方式だ。ホンダからも小型な物が実用化されている。
もちろん、現在主流となっているディーゼルエンジンによる大型トラックと較べ、長距離走行性は劣るが、バッテリーステーションを設け、そこでバッテリーの換装を行うことで機動性を確保することが図られている。バッテリーはリース方式、ステーションをインフラとして公共性を持たせるなど、普及に向けてさまざまな方法が実施されている。
一方、採掘場など活動範囲がある程度限られる大型ダンプトラック(積載量は200トン級!)では「トロリー充電式」が実用化に向けて開発が進められている。日本の日立建機とスイスのABB社が共同開発する車両で、車両の走行電源は敷設された架線から供給、架線のない区間は架線から充電したバッテリーで走行するという、フル電動方式のダンプトラックである。なお、日立建機は現在、架線から電気を供給し架線のない区間はエンジンで発電した電力によってモーターを駆動するハイブリッド方式のダンプカーを製品化し、作業現場で実用化されている。
大型EVは、基本的には乗用(小型)EVと同種の問題を内包するが、消費電力が大きくなることでそれに見合った電源(バッテリー)が必要となり、結果的に乗用車より実現に向けてのハードルがかなり高くなっているのが現状だ。