レース由来の優れたシステムだけど市販車にはまだ普及せず! クルマ好きがピクッと反応する用語「ドライサンプ」って何? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■モータースポーツ由来の技術で市販車への普及が進んでいないものに「ドライサンプ」がある

■市販車のほとんどに採用されるのはオイルパンにオイルを貯めておくウエットサンプ方式だ

■強い横Gが連続でかかった際に潤滑不良が起こらないように考え出されたのがドライサンプ方式だ

市販車のほとんどが採用するウェットサンプ方式

 市販量産車の歴史を振り返ってみると、高性能メカニズムはモーターレーシングや航空機から転用されているものが多いことに気付く。4バルブDOHC、ターボチャージャー、ディスクブレーキなど、思いつくまま挙げてみてもそれこそ数限りがない。

 こうした高性能メカのなかで、古くからありながら市販車への応用というか普及が進んでいないものに「ドライサンプ」方式がある。人によっては、ドライサンプってなに? と初めて耳にする人がいるかもしれない。

 英語で表記すると「Dry Sump」。Sumpとはオイルパン、油溜めの意味で、ドライサンプとは、乾いたオイルパンという意味になる。これに対して、ウエットサンプという言葉があり、直訳すると、湿った(濡れた)オイルパンとなる。文字どおりオイルパンにオイルを溜めておく方式で、市販車で使われる潤滑機構がこの方式だ。

 もう少し詳しくウエットサンプを説明すると、エンジンクランクケースの最下端にエンジン潤滑用のオイルを溜め、そこからオイルポンプによって吸い上げたオイルをエンジン各部に供給。金属同士が接するエンジン各可動部にオイルを供給することで、焼き付きを防いでいる。また、車種によっては多量のエンジンオイルを循環させることで、冷却の役割を受け持たせているモデルもある。


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