高速でのガス欠は「違反」だがEVの電欠はまだ未整備! クルマの進化に合わせて「道交法」も変える必要アリ (2/2ページ)

高速でのガス欠は違反だが電欠については現状決まりがない

 最高速度については、道路交通法で時速100キロメートルとなっている。だが、新東名など一部の高速道路では120km/hが認められるようになった。これは、高速道路の設計が120km/hに適応しているということで、クルマの進化が直接的な理由にはなっていない。しかし、現在のクルマは名神高速道路や東名高速道路が開通した1960年代に比べてはるかに進化し、走行性能が高まっている。タイヤも、当時はバイアス構造が主流だったが、現在はすべてラジアル構造になり、グリップ性能は向上している。クルマとタイヤの進化をあわせ、より高速で走行しても安全になっているのは事実だ。

 ところで、高速道路でガス欠になると、道路交通法違反になる。道路交通法では、燃料だけでなく、冷却水や、潤滑油などに起因して走行できなくなり停車すると違反になると定められている。電気自動車(EV)は、バッテリーの充電が切れると同じように走れなくなる。しかし、文書化はされていない。したがって、罰則を問えるかという問題は残る。とはいえ、ガス欠と同じ状態になるのだから、将来的には文書化されていくことになるかもしれない。

 この場合、クルマ側のメーター表示も、燃料計のような単なる図式だけでの表示で充電残量を見せるだけでは不十分になる。SOC(充電率)と呼ばれ、充電残量をパーセンテージで表示することが、電気切れの予防につながる。

 エンジン車と違い、EVは減速時に回生を利用して走行中に充電することができる。したがって、必ずしもこの先の走行距離と電力消費が一致しないためだ。また登り坂や下り坂の違いも、充電残量に大きく影響する。登りでは電力消費が多くなるが、下りが続くと回生によって充電量がどんどん増えていき、サービスエリアなどでの急速充電が不要になることもある。

 EVが高速道路上で電気切れを起こすことを防ぐうえでも、SOCのメーター表示は極めて重要になる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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