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話題の新型クラウン! ぶっちゃけ乗ってどうでした? 【ド直球インプレ 嶋田智之編】 (2/2ページ)

話題の新型クラウン! ぶっちゃけ乗ってどうでした? 【ド直球インプレ 嶋田智之編】

この記事をまとめると

16代目となる新型クラウンが発表された

■4モデルのうち、まず今秋に発売されるのが話題のクロスオーバーモデル

■今回は嶋田智之さんが乗ってみた印象をお届けする

後席の乗降性もしっかりと確保されている

 ふと思いついて“crown”という単語を愛用のウィズダム英和辞典で調べてみると、王冠、栄誉、王位といった意味が記されてる。トヨタ・クラウンの場合にはエンブレムを見ても明らかなように“王冠”だと考えるべきなのだろうが、いずれにしても記されていた意味はそれを得た人を讃える何かを表すものばかり。確かに王冠や王位といった言葉からは自然とフォーマルな雰囲気を連想するものだけど、crownという単語は何せ誰かを讃えるモノやコトであるのが第一義なのだ。そこにドレスコードを定める何かは含まれてない。

 ならばトヨタ・クラウンは、ずっと続けてきたコンサバな感じのフォーマルな4ドアセダンをヤメてもいいんじゃないか? である。残念ながら現段階では“RS”には未試乗なのだが、クラウン・クロスオーバー“G”には試乗していて、今ではそんなふうに感じてる。

 クルマ好きの皆さんなら記憶に新しいだろう。7月に16代目となる新型クラウンが発表された直後の「これがクラウン?」「まぁでもわりとカッコいいよね」というような戸惑いの気持ちを。頭の中にあったクラウン像と新たに提示されたクラウンの姿がまるっきり結びつかなくて、誰もがちょっとばかり衝撃を受けちゃったのである。僕自身も“これが新型クラウン? ……っていわれてもなぁ”みたいに、何だか釈然としないような気分になったものだった。買う気があるわけでもないのに。

 誤解を承知でいうなら、ある意味、クラウンというのはそういう存在でもあると思う。もちろん購入意欲のある人が少なからずおられるのも確かだけど、クルマにまったく興味がない人でも名前くらいは知っていて、クルマ好きにとっては昔からニッポンのコーキューシャの代名詞的存在だから気になっていて、その存在感の大きさが頭や気持ちに居座っていたりもする。購入者だけがクラウン像を抱いてるわけじゃないのだ。そこに来て新しいクラウンのメインストリームになると思しき4ドアクーペとSUVを掛け合わせたようなクロスオーバーの姿を見せられたら、複雑な気分になるのも然りといえば然りだろう。もちろん歴代クラウンの多くがそうだったように、新型にもいくつかのボディが異なるモデルが並行してラインアップされることになるようだが、そのいずれもがこれまでの固定観念的クラウン像とは違ってる。新型クラウンの発表は、クルマ好きにとってちょっとした事件だったのだ。

 でも、試乗したあとのいまならいえる。クラウンがこうであってもいいんじゃないか、と。いや、言葉を変えよう。試乗から日が経ったいまは、時間が解決したのか“これがクラウン?”な気持ちはもうどこにもなく、誰かに問われれば当たり前のように“新しいクラウン、いい出来映えだったよ”なんて返してる自分がいる。自然と新しいクラウンをクラウンとして認めるようになった、ということなのかもしれない。

 僕は発表会の会場にお邪魔することができなかったので、実車を見たのは試乗の当日がお初だった。オンラインの発表会で見たときにもそう感じたとおり、わりとカッコいいじゃん、と思った。ノーズ、ボンネット、フロントウインドウ、ルーフ、テールエンドへとなだらかに流れていく一連のラインは写真より綺麗に思えたほど。前後のドアを後ろに向かってせり上がっていくような表情豊かなえぐり込みもいい。インテリアもこれまでどこかに漂ってたオッサン臭さはなくなって、度が過ぎない程度に肩の力の抜けた、シンプルでスタイリッシュといえるものになった。エクステリアもインテリアも全体的にだいぶ若々しい印象で、いまどきの時流にも合ってるとは思う。

 ある時期のメルセデス・ベンツと同じくクラウンを求める層の高齢化が進み、そうなると販売台数も先細りになっていくのが道理。変えるべきところは大きく変えて新しい道を切り開いていこう、と考えた結果だろう。若返りを狙った、という点ではいい感じに成功してるように思える。

 これまでのクラウンでは比較的多かった黒塗りのハイヤーや公用車、あるいは会社の役員専用車のような使われ方にはまったく似つかわしくないが、そこはどうする? と思ったら、ヒップポイントが630mmで乗り降りがしやすいフロントシート同様リヤシートも乗車と降車がとてもラク。しかもリヤのドアにだけ、半ドア状態まで持ってくればあとは自動で閉じるオートクロージャーが備わってる。リヤシートの足もとは、これまでのどのクラウンより広い。後ろのシートに乗せる人を大切に扱う伝統は捨ててない、ということだろう。

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