私有地内であっても刑事責任を問われる場合がある
逆にいえば、冒頭でも触れたようにサーキットや自動車メーカーのテストコースのような完全にクローズドで許可されたクルマしか走らないという状況であれば、そこは道路交通法でいうところの「道路」ではないので、少なくとも道路交通法は適用されない。
サーキットで300km/hを出したからといって速度違反で捕まることはないし、左から追い越したからといって違反を取られることはない。レースではテール・トゥ・ノーズといって2台のクルマが当たりそうなくらい近づいたバトルも見られるが、あおり運転として摘発されることもないのだ。
とはいえ、クローズドな私道だからといって治外法権で、やりたい放題というわけではない。
レースで車両同士が接触したくらいでは警察が出てくることはなく、それは当事者同士もしくはレースオーガナイザーによって処理されるが、大きなケガや死亡事故につながった場合は警察に連絡をして、現場検証を行なう必要がある。日本は法治国家であり、法律は私道で起きた事故であっても適用されるからだ。
実際、サーキットで起きた死亡事故の原因を作った人物が、業務上過失致死傷で送検されたこともある。そのほかドリフトイベントで起きた死亡事故において主催者が書類送検されたということもあった。
少なくとも救急車を呼ぶような死傷事故が起きてしまうと警察の捜査案件になるといえる。その際に、故意に事故を起こすような行為があったとか、事故を誘発するようなミスがあったとされると刑事責任を問われることになる。私道であっても何でもありというわけではないのだ。