いまの納車遅延はそのまま新車ディーラーの収入減! 販売店の生き残りをかけた対策とは

この記事をまとめると

■いま多くのクルマの納期が延びている

■販売店はどのような対策を立てているのだろうか

■車両の販売ではなく、サービスで収益を高める必要が強まっている

サービスで収益を高めることが求められる

 クルマの販売では、基本的に登録(軽自動車は届け出)を行ってから入金されるため、納期が延びると販売会社の資金繰りには良くない影響が生じる。どのような対策を立てているのか、販売店に尋ねた。

「コロナ禍で納期が延びる前から、近年ではクルマの販売に伴う1台当たりの粗利が減っていた。そこで納車時には、メンテナンスを割安に受けられるパッケージを推奨したり、ボディのコーティングを行っている。これらを実施すると、お客様と販売店のお付き合いも長く続くから、車検などの誘致もしやすい。車両の販売だけでなく、クルマに関するさまざまなサービスによって、利益を生み出している。この流れが、納期の遅延が始まってからは、さらに顕著になった」。

 メーカーでは、商品開発の面からも販売会社を支援している。商品企画担当者は以下のようにコメントした。「今後も納期の遅延が続くと、当然ながら新車に乗り替える周期も長引く。車両の販売ではなく、サービスで収益を高める必要が強まる。そこで今後は通信機能を利用して、各種のソフトウェアをバージョンアップするようなサービスも積極的に行う。たとえば購入後に、衝突被害軽減ブレーキの機能を向上させることも可能になる」。

 このほかオプションパーツの取り扱いを見直す話も聞かれる。「販売店で装着するディーラーオプションは、車両を買ったあとで取り付けることも可能だが、実際には購入時に限られていた。そこをこれからは、点検や車検の時に、ディーラーオプションを装着することも提案する」。

 従来は、就職、結婚、子供の出産や就学など、ライフステージの変化に応じてクルマを乗り替えていた。ところが子供が生まれた時に購入した車両を12年間使えば、手放すときには、その子供は中学生になっている。子供用のシートだけでも、成長に応じてベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシートと買い替える。

 また子供の成長期に1台のファミリーカーを長く使えば、車内の汚れも気になる。乗り替えをしないなら、クリーニングのプランも有効だ。クルマの販売店では、今以上にサービスが重要になり、カーショップに近付いて行く。そのカーショップも、今は車検やボディ補修などを手掛けるようになり、両者の競争も活発になってきた。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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