クルマの「パワーアップ」をしたならまずはブレーキ強化……は間違い! 意外と知らないチューニングの順番とは (2/2ページ)

見えない場所の強化も忘れずに

パワーアップに合わせたチューン③ サスペンションの強化

 これはターボ車のブーストアップやタービン交換など大幅なパワーアップをした場合に当てはまる項目だが、サスペンションも強化したいところ。

 とくにトルクが大きくアップすると加速時はフロントタイヤが浮き気味になる。コーナリング中にアクセルを踏めば、FF車なら大きく外に膨らみやすい。FR車ならリヤタイヤが滑り出すこともある。

 姿勢変化が急激に大きくなってしまうので、そもそも車体を支えているスプリングを強化したい。もっともよくあるのは車高調の装着。スプリングレートが純正サスに比べれば大幅に上がり、姿勢変化を抑えられる。それに合わせて減衰力も変わって、急激なロールやピッチングなどを抑えてくれるのだ。

 先述のタイヤのグリップ強化も、姿勢変化を大きくする要因のひとつ。サーキットなどではタイヤのグリップが上がるとそれだけ踏ん張りが効き、さらにロールやノーズダイブの量が増えてしまう。余計に姿勢変化が大きくなるので、サスペンション強化の重要性がもっと増すのである。

パワーアップに合わせたチューン④ 駆動系の見直し

 これも大幅にパワーアップした場合の話だが、大きくトルクが増すならクラッチの強化なども考えたい。トルクが大きくなると純正クラッチでは摩擦力が足りず滑り出してしまうことがある。また、その摩耗も早くなる。そこでクラッチ板自体の材質をメタル材にしたり、そもそも摩擦面を増やすツインプレートにしたりというのがチューニングの定番だ。

 最近ではよほどのハードチューンでなければそこまで必要としないが、オーガニック材やカッパーミックスなどと呼ばれる扱いやすさは純正クラッチそのままに、スポーツ性を強化したものがあるのでオススメ。カバーの圧着力も若干強化されている程度で、クラッチペダルの重さもほとんど変わらない。高価だが、扱いやすさと摩擦力を両立したカーボンクラッチも徐々に増えてきている。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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