サーキット走行では700℃前後になることも珍しくない
山道の下り坂ではローター温度が300℃ぐらいまで上昇する。乗用車の純正ブレーキパッドのフェードポイント(適正温度の上限)は、300~350℃を想定しているので、このぐらいの温度になると、ローターから煙が出てくることも!
さらに長い下りが続いて、なおかつエンジンブレーキを上手に使えず、ダラダラ長時間ブレーキを踏み続けると、500~600℃になるケースもある。
ここまで来ると、ノーマルパッドではフェード現象がはじまり、ローター表面もうっすら赤みを帯びてくる。
そしてサーキットでのスポーツ走行ともなると、700℃前後になることも珍しくない。したがってサーキット走行を楽しむのなら、ローター適正温度が700℃以上のブレーキパッドが必須といえる。
この温度になると、ローター表面の色はオレンジ色になり、かなりの高温。ちょうどシガーライター(電熱式のタバコ着火装置)が熱せられたときと同じような色で、タバコの先端をローターに当てれば、火がつくぐらいの温度だ。
ちなみにスチール製のローターで、真っ赤になるのは800℃前後。ブレーキパッドもレース用でなければ危険な領域。
普通車の最大減速Gと最大加速Gを比較すると、減速Gは加速Gの2倍以上もあり、ブレーキの仕事量はじつに大きく、重要性も高い。安全性に直結している部分でもあるので、ブレーキの熱容量をよく考えて、無理のないドライビングを心がけるようにしよう。