今後ディーラーやオートショーのあり方は大きく変化する
かつて週末にオートモールへ出かけると、それこそお祭り状態であった。アメリカで新車を買うときには、ローンやリースの審査に時間がかかることもあり、ディーラー敷地内にホットドッグなどの軽食を無料で配る屋台が出ていたり、子ども向けに遊具を大々的に置くディーラーなどがあった。試乗した新車を購入して乗って帰るのがアメリカ流の新車購入となるので(現状はだいぶ変わってきた)、大人は新車の試乗を楽しんでおり、本当に活気があった。
しかし、リーマンショックが起きたころからお祭り騒ぎは縮小化し、さらにコロナ禍直前あたりからは、オンライン販売が台頭し、週末にオートモールを訪れても活気というものはあまり感じなくなった。さらに今年は半導体不足などで在庫販売メインのアメリカなのに在庫が少ない、つまり新車を買って乗って帰ることができないこともあり、より静まりかえっていた。
先進国でオートショーの“オワコン化”が進んでいるように見える。オンライン販売が目立ってきたころは、実車のチェックはオートショーで行う人が多いとの話を聞いたが、オートショーがオワコン化していくとしたら、新車もいよいよ実車を見ずにオンラインで購入する時代が本格化するのだろうか。世界的に話題の新車が続々デビューするといったオートショーはオワコン化していくのだろうが、既販車を多く展示し、試乗をメインとしたオートショーにはまだ活路があるのかもしれない。「それならオートモールで済むじゃないか」との声もあるだろうが、そこには新車を売ることが仕事のセールスマンがいる。そうなると、セールスマンの売り込みが煩わしいという人が若い世代ほど多いので、オンライン販売というものが注目されているのである。今後のオートショーは、“販売されている新車を見せ、そして乗ってもらう場所”になっていくのかもしれない。