この記事をまとめると
■この連載ではライター陣のクルマ選びの基準を紹介
■今回は石橋 寛さん
■素直に「カッチョいい」クルマであることは大切
クルマ好きが「欲しいクルマ」に求めがちな「あるある条件」
皆さまもご経験されているかと思いますが、週末の深夜あたり街道沿いのファミレスで、遊び仲間が集まればたいてい女の子の話かクルマの話題と相場は決まっていたものです。ケーニッヒがどうした、湾岸ミッドナイトがこうしたなど、およそミーハー、荒唐無稽、クルママニアとしてのマウント争いに火花を散らしたりなんかして。そこで「次のクルマ? チゼタ、予約してあるし」とか「ゲンバラ・アバランシェ、内外パールホワイトに決めた」などとほざいても実現するわけでなし、罪のない与太話で終わるのが常ではありました。
とはいえ、今ではこうして拙い文章でなにがしかをお伝えする立場ゆえ、クルマ選びの基準を聞かれて「あ? 800馬力、パワステ、あと駐車場せまいからバックモニター付きでヨロ~」というわけにもまいりません。きちんとした基準かどうかは別としても、筆者の寝ぼけまなこがボンヤリ見ているもの、確かめていることを書いてみようかと。仮に傲慢、目線が高いと感じられたとしたら、先の深夜ファミレスのトークと同じく、調子に乗っているだけだと笑って許してくださいませ。
1:軽いこと
とにかく、重ったるいクルマはノーサンキュー。これは、絶対的な重量のみならずクルマの動きに重さを感じるものもいただけないと考えています。一方で、車重がそこそこあったとしても、ノーズの入り方がシャープだったり、S字コーナーで揺り返しなどネガティブな動きがなかったとしたら「いんじゃね、コレ!」と口もとがゆるむのです。例えば、マセラティ・クワトロポルテはだいたい2トンの重量級ですが、パッケージがいいのでしょうか、あたかもカートに乗っているかのような回頭性能を見せてくれます。むしろES30(アルファロメオSZ)は、妙なイナーシャは出づらい設計にも関わらず「速い切り返しだとイマイチ」だったりね。
ともあれ、だいたいにおいて軽いクルマに裏切られることは滅多にないはず。先のSZにしても、アライメントやサスセッティングで印象が変わることは確かでしょう。また、小市民的な視点からも、軽いクルマは燃費にも有利ですからね。
2:フルサイズはちょっと……
まずは、これ筆者の駐車テクがおぼつかないというのがあるのです。それから、クルマ雑誌の出版社に在籍していた頃の諸先輩方がおしなべてスモールクラス、ないしミディアムサイズのクルマに乗っていた刷り込みも少なからず。なにしろ、見通しが悪くて細い裏道を鬼のようなスピードでカっ飛んでいくのです。フリートウッド・エレガンスやベントレー・アズールには大いに憧れたものですが、それであの走りはムリ。ちなみに、そんな先輩の金言は「アフリカのサバンナで獲物を探すチーターが駆けていれば、おびえた動物は飛び出して来ない」というもの。
コンプライアンスというとサスセッティングしか思い浮かばない頃の話ですが、それにしても「無茶苦茶やん」と眉毛がハの字になったものです。
ともあれ、軽いクルマがプライオリティなわけですから、当然大きく重たいフルサイズは敬遠してしまうのもおわかりいただけることでしょう。